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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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サイエンスポータルにて「政策形成への科学的助言」という記事が掲載されました.社会とかかわる科学者・研究者にとっては参考になると思うので,多少長い記事ですがお時間があれば是非ご一読を.

記事では様々な側面を紹介していますが,そのうちの一つに事象,科学者,実際の対応を行う人の関係が示されています.ある事象が起き,それを観察する科学者がいて,その結果をもとに提言等を構成する科学者がいて,実際の行動を担う人に伝えるという4つの段階から構成されると.
ごく当然の流れだと感じますが,第3段階での提言等の構成についての解説にはなるほどと感じるものがありました.非常に参考になると感じたので引用しておきます.
ループの第3段階は、本稿のテーマである政策形成への科学的助言の段階なので、詳しく見てみよう。この段階は、第2段階で行われた、状態観察や調査・分析による評価や警告、地域の文化や経験などを総合し、地域に合った復興計画や、個々の課題解決の行動に適用可能な知識体系や提言を作成し、行動者である国や地域の首長、議会、市民に提出するプロセスである。

この段階は、アカデミックな学理論争を行う場ではない。科学者は往々にして、自らの理論に基づいて助言しようとするが、それがかえって社会の混乱を招きかねない。個々の専門知識、見解を基礎にしながらも、政治や市民の合理的な行動につながるように、全体として統一のとれた俯瞰的情報、助言をまとめ発信しなければならない。
科学者にとって学理論争を行ってはいけないというのは,なかなか自分では思いつかないのではないかと思います.しかし自分たちの研究を社会に還元する際には,研究段階とは状況が違うのだということをしっかりと理解し,自らの責任を果たす必要があるということを意識しなくてはならないということでしょう.

一方,政策形成への科学者の関与の広がりと深まりによって,科学者への圧力が起きやすくなるとも指摘されており,そのための政治と科学の間の行動規範の作成が急務であると述べられています.これについて昨年3月に英政府により発表された原則も記事の中で紹介されています.ごく当然のことにすぎませんが,当たり前のことが当たり前にできないのが人間ですから,こうした原則を明示しておくことは重要だと思います.
すべての科学者・研究者がこの原則をしっかりと胸に留め,社会との関わりや貢献を意識することがこれから必要ではないかと感じますし,何らかの形で学ぶか身に付ける機会を設けるべきではないかと思います.

一方で,すべての事象が必ずしもゼロか1かで決められるわけではなく,行動するかしないかを問われる政策形成には抵抗を持つ研究者もいると思います.また,学究の徒として純粋に事象と向き合いたいという研究者もいると思います.そうした人々は先に述べた4つの段階の2つ目,事象の観察・分析による情報の提供によって貢献することができるはずです.
自分は一切社会とは関わらないとは考えずにいることが,これからの科学者には求められるようになるのかもしれません.
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