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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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土木学会が運営している「行動する技術者たち」での篠原修・東京大学名誉教授の記事(こちら)より思ったこと.

記事の内容は土木学会のウェブサイトをご覧いただきたいと思いますが,ざ~っくり要約するとすれば,景観を意識した土木施設の設計を常識とし,土木をより良いものとして根付かせなければならない,ということでしょうか.

景観(あるいは意匠)を意識した設計が土木施設を優れたものにする,という意見には賛否があるかもしれませんが,熱意や思い入れを持って臨むことで,自らが関わる仕事がより良くなるということは多くの人が同意することではないかと思います.仕事に熱意を持って臨むひとつの方法として,デザインへのまなざしをより強く意識することが有効だと考えればよいかもしれません.

土木における景観の必要性については,必ずしも多くの技術者が重視してこなかったのかもしれません(実際,私の友人にも「よーわからん」という人がいました).
しかし,景観や土木史研究における過去の土木構造物や事業の評価を通して50年,100年前の構造物のすばらしさを顧みることから,いま自分が関わっている仕事が50年後あるいは100年後に高く評価されるようにがんばろう,と気持ちを奮い立たせるきっかけになるとすれば,土木において欠かせないひとつの要素であるし,技術者としてそのような素地を心に培うためには土木に関わるすべての人が学ぶ価値のあるものではないかと思います.

幸いなことに私は学生時代に景観工学を学ぶ機会に恵まれましたが,そのような講義が提供されている大学は多くないのかもしれません.篠原先生が東大で立ち上げた土木景観に関する取り組みが,それを学ぶことのできる環境の広がりにつながると,これから意識の高い土木技術者が生まれてくるのかもしれません.

とかなんとか書きましたが,あくまで私見ですので.
もし景観を専門とする方がお読みになったら,素人の駄文ということで大目にみていただければ幸いです.

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連続シンポジウム「巨大災害から生命と国土を護る-24学会からの発信-」第2回「大災害を前提として国土政策をどう見直すか」における中村英夫・東京都市大学学長の基調講演がサイエンスポータルに公開中.こちら

過去の地震災害に関することなどにも触れていらっしゃいますが,ポイントとしては「数百年に一度の大災害にはハード+ソフト対策,数十年規模のものに対してはハード対策」ということです.
先の震災でハード対策の限界を目の当たりにしたわけですが,それを補うソフト対策をいかに構築していくかということについては明確な答えは出ていないのではないかと思います.しかし,上記の考え方は地震に限らず大規模災害にはあてはまるもので,これからの防災計画・事業には欠かすことはできません.
さらに,ハードだけではもたないということを防災に携わる人々だけでなく,一般市民も理解し,時に自分たちでどうにかしなくてはならないこともあるということをしっかりと理解しておく必要があります.

こうした考え方は震災以降いろいろなところで目にしますし,防災関係の人々にとっては必ずしも新しいものではありませんが,一般の人々には意外とも感じられるかもしれません.しかし,現実はその通りですし,そのことを広く世に知ってもらうには,繰り返しになったとしても色々な人が色々な場で伝えていく必要があることだと思います.
研究の世界では新規性が重視されますが,人々に大事なことであれば,誰かが既に述べていることだとしても,それを知らない一般の人々に伝えることも普段から学びを生業をしているものの務めではないかと思います.

記事では,「災害からの年月がたつとともに防災事業は無駄だと言い出す人が必ず出てきて、そのうち事業仕分けの対象にもなってしまう。」と延べ,先日私が触れた首都機能移転については影も形もなくなったと書かれています.確かに,平和な日常においては防災を声高に言うことは浮いた存在になってしまうかもしれません.しかし,本当にそれで良いのかということを,政治や行政に関わる人は今一度考えるべきではないかとも思います.
そういう意味で最後の「国土計画に携わる者は,防災事業の必要を常にアピールしなければならない」という言葉は土木に関わる者としては立つ瀬とさせて頂きたいと思います.

一点,「持続可能な発展を…」という部分が気になりましたが,そこはこの記事の中心ではないということで置いておきましょう.
日本学術会議による提言「持続可能社会における国土・地域の再生戦略」において,今後の日本社会のありかたに関して「順応的凝集(=スマートシュリンク)」という言葉が用いられているそうです.それに関する要約(?)がサイエンスポータルに紹介されていました(こちら).

今後100年で人口が半減することが予想される日本において,社会資本を拡大する動きが弱まるとともに,低密度な都市の現出が考えられるということで,人口に見合った市街地を形成し,寄り添って生きることで生活の質を高める必要がある,というのが要旨といえるでしょう.

今後はクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上を重視することが必要であるというのは,成長よりも成熟を目指すのが妥当ではないかなぁと思っている私としては腑に落ちる記述でした.
そのための抜本的方策がスマートシュリンクを実現するための土地利用改革なのかどうかはわかりませんが,人口が減少する中で必要な社会的機能を提供するために求められる動きのひとつであることは確かなことのように思います.

そのために地方分権化を進め自治体の地域管理能力を高めるための法整備等が必要,というのは私には良く分かりませんが,一般の人々に今後の日本における人口変化の予測を示すとともに,どのような生き方,住まい方をしていくかを考える必要があるかもしれない,と伝えることは不可欠なように思います.

個人的には,機能が凝集したところで生活パターンが今と変わらなければQOLの向上にはつながらないわけで,都市や集落の凝集とともにどんな暮らし方にしていきたいかということを考えることも欠かせないはずと思います.そこには新たな価値観が出てくることも間違いないでしょうし,その価値観に基づく生き方ができる社会ができあがることがいちばん大切なのではないかと思います.
私が所属する学科は,今でこそ名前は違えども,元々は土木の名を冠しておりまして,今でも女子学生の数は男子学生に比べると少ないです.それでも,金沢大学では建築系研究室も一緒の学科にあるため,土木と建築がわかれている場合に比べれば多い方ですが.

土木を学ぶ女子学生が少なければ,当然社会で土木の職に就く女性も少ないわけですが,それでも活躍する方々はいらっしゃいます.そんな「どぼじょ」の話題.MSN産経ニュースより.

トンネルやダム建設などに携わる女性土木技術者が、東日本大震災の被災地で活躍している。「どぼじょ(土木系女子)」とも呼ばれる彼女たちの仕事場は、がれき処理など復興の最前線。かつて「女人禁制」のイメージも強かった土木の世界が様変わりしてきた。(MSN産経ニュースより)

活躍が紹介されているとはいえ,記事によるとそれはここ数年のことだそうです.土木学会の会員においては,女性は2%に過ぎないそうです(!).とはいえ,記事にも述べられていましたが,土木構造物あるいは社会基盤施設は当然女性にも使用されるわけで,モノによっては女性の視点が大事なこともあるかもしれませんし,ニーズの多様化によって,その傾向は強くなっているのかもしれません.

土木系学科は「絶滅危惧学科」なんて言われたりして,ますます学生の人気がなくなるような感じですが,まちを作り,守る仕事は人が生きる以上なくならないので,学ぶ学生も増えてくれればと思います.女性技術者の働き方,生き方も次第に確立されてきているようなので,より女子学生に抵抗のもたれない学科になれば良いですねぇ.

それにしても,「どぼじょ」って響きはどうなんでしょう.スマートさなどはあんまり感じられないような気もしますが.まぁそれが土木らしいっちゃらしいかもしれませんし,武骨な感じが案外かわいいなんて思われたりするのかも.
平成26年度末に開業予定の北陸新幹線の富山駅舎デザインが検討委員会によって選定されたとのこと.ふるさとメディア・北國新聞より.
富山県、富山市などでつくる富山駅周辺景観デザイン検討委員会は3日、北陸新幹線の富山駅舎のデザインについて、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)から示された3案のうち、雪の立山連峰をイメージしたA案を選んだ。今月中旬に石井隆一知事、森雅志富山市長に報告し、月内に鉄道・運輸機構に回答する。(北國新聞より)
上記記事では選定されたデザインだけが紹介されていますが,富山県のウェブサイトでは候補となった3つの案のイメージ図も公開されています.全体的な設計やほぼ同じで,テクスチャが違うだけのような感じですが,いずれもさわやかな感じがします.富山ご自慢(?)のLRTの乗り入れる姿も描かれていて,わくわくする感じです.

金沢の駅舎デザインはどうなっているのかわかりませんが,かなりできあがっている感じなので,新しい駅舎によってイメージが変わることはないのではないかと思います.

なんにせよ新幹線開業がますます待ち遠しくなります.
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