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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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昨年,浸水想定作成のための想定最大外力の設定手法が国交省から示され,それに沿って各地の河川で作業が進められていたようですが,その結果が一部河川で公表されたとのニュース.毎日新聞より.
昨年9月の関東・東北豪雨などを受け国土交通省は30日、東北から九州までの20水系について、各地域で最大クラスの降雨があり河川が氾濫した場合の浸水想定区域などを公表した。荒川水系と多摩川水系を除いた18水系については、家屋倒壊や流失をもたらすような水害の発生が想定される「家屋倒壊等氾濫想定区域」も初めて指定した。(毎日新聞
上記記事内では詳しい内容は述べられておらず,国交省のウェブサイトからも資料は見つけられませんでした.と思ったら,本省ではなく地方整備局のウェブサイトから公表されていました.本省のウェブサイトにもせめてリンクくらい作って下さいよ.

たまたまラジオニュースで聴いていて,最大浸水深が10mに達するところもあるとか耳にしていたのですが,関東地方整備局のウェブサイトから久慈川水系の浸水想定区域図をみたところ,河川沿いの広い範囲で5~10mの浸水深が想定されていました.

5~10mも浸水したら3階建ての家ですら水没しかねないと思いますし,そもそも建っていられるのか,とか,もうお手上げではないかと.
そういう観点からすると,今回の浸水想定区域図は,その規模の水害から地域を守るというよりは,壊滅的な被害をもたらし得る最悪シナリオを示して,その時どうするかを考えるための材料であるといえるかと思います.

ただ,実際の地域づくりに関わる地方自治体の担当者がその点をきちんと理解し,住民の方々にも伝えることができるのか,やや疑問に感じますし,あまりの被害規模の大きさに「どうするんだ?」とおろおろするのではないかと思ったりもします.

とりあえず公開しました,で終わらせず,この情報をどのようにとらえ,どう生かすのかということを示すことまでしないと余計な混乱を招かないとも限らないのでは.
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昨年の鬼怒川水害を受けて内閣府が実施した「水害に対する備えに関する世論調査」の結果が公表されたとの話題.時事通信より.
内閣府は18日、「水害に対する備えに関する世論調査」の結果を発表した。水害を補償する保険に「加入している」と答えた人は、全体の約3割にとどまった。内閣府は「加入率が低いのは、十分な情報提供がないからではないか。周知徹底のためのガイドラインを今年度内に作りたい」としている。(時事通信より)
洪水等の水害に対しては,堤防やダム等のハード対策(構造物)だけであらゆる規模の災害に対応することには限界があり,災害発生時の対策や土地利用などなどのソフトウェア対策により被害を軽減することが不可欠であるというのが現在の共通認識といえます.

その中で,被災後の復旧をスムーズにする方策のひとつとして,保険への加入というのは有効なオプションといえます.記事では加入率の低さを情報不足のためと述べていますが,内閣府から公開されている調査結果を見る限り,どういった情報が不足しているのかという精査が足りていないように感じました.

保険制度に関する情報なのか,あるいは自身が住まう地域の水害リスク情報なのか,といった点が明らかにならなければ,仮にガイドラインを作成したとしても的外れなものになってしまうかもしれません.
今年度内にガイドラインを作りたいと考えているようですが,焦って実効性のないものを作るより,しっかり調べた上で良いものを作る方が良いと思います.


なお,内閣府から公開されている今回の世論調査結果(こちら)では,水害保険以外の質問事項や,過去に実施した同様の調査結果についても参考として示されており,なかなか興味深いものとなっています.関心のある方は是非ご覧あれ.
もう数年前になりますが,中央防災会により荒川決壊による首都圏水没に関する報告書(こちら)が公開されましたが,その関連記事が東洋経済オンラインにありました.

記事によると,昨年9月に地下鉄の車内広告で荒川下流域での対策について一般の方々に周知するなどしたそうです.
果たしてどれだけ効果があったのかわかりませんが,そうまでして一般の人々にしってもらわなければならない,という国交省の危機感があるということだと思います.

最近,某K川で検討中の大雨災害について伺うことがあったのですが,ちょっと考えられない規模の降水を対象とした検討でびっくりしました(これは,あくまでルールに則った方法によるものなので,その検討を担当している方も「ちょっと・・・」という感じでした).

しかし,ちょっとあり得ないと考えたものの,それは防災・減災できるレベルの災害しか想定していないからであって,場合によっては壊滅的な被害をもたらす気象現象が生じないとも限らないのではないかと思いました.

極端に大きな地震であれば都市が壊滅することもあり得ると思いますし,それに対して絶対に負けないまちづくりをしろ,とは誰もいわないのではないかと思います.
一方洪水等の気象災害については,壊滅的な現象がおこるとはあまり考えられていないのかもしれません.場合によっては壊滅的な気象災害が起こることもあると考えながら,どのレベルまで地域やまちを守るのかを考える必要があるように思います.
今年,日本国際賞を受賞された東京大学名誉教授・高橋裕先生のインタビュー記事がサイエンスポータルにて連載開始されました.

第1回は「決壊あり得るのが堤防」というタイトルで,先月発生した関東・東北豪雨での災害や,昭和40年代,50年代に発生した洪水被害について触れながら,大きな洪水というものは堤防だけでは対処できないものであり,破堤した際にどこに被害が及ぶか,その際にどのように対応すべきかを考えておくことの必要性が語られています.

正直なところ,これまでの河川工学などで述べられていることと変わらないわけですが,それだけに「変わることなく大切なこと」,河川においては不変的な真理のようなものといえるのではないかと思います.

しかし,記事の中でも述べられていますが,大きな洪水というものは人間がつくった構造物だけでは対処できないということが,普通の人々には必ずしも理解されていないというのが現実なのだろうと思います.

河川に関わる研究・教育に取り組むものとして,自分の持つ知識や考えを多くの人々に伝えていくということも大事なように思います.少なくとも,自分の近くにいる学生たちには,自然の力の大きさを理解し,どう付き合っていくべきかを考えられる技術者になるよう伝えていきたいと思います.

石川県を流れる一級河川・手取川.降雨による土砂崩落に伴う濁水が問題となりつつあるという話題.YomiuriOnLineより.

加賀地域を流れる手取川が、上流域で発生した大規模な斜面崩落の影響で濁り続けている。水田への泥水の流入やアユの稚魚の放流延期など、農業や漁業への影響が懸念され、国土交通省金沢河川国道事務所などが対応に追われている。(YomiuriOnLineより)

記事によると,濁水では魚のエサとなる藻が少なく,今後解禁が予定されているアユ漁への影響や,植えつけたばかりの稲の育ちが悪くなるのではないか,といったことが懸念されているそうです.

既に発生してしまった今回の濁水について,土木で対応できることはあまり多くないのではないかという気がしないでもありませんが,濁水の問題はこれから頻繁に起こるかもしれません.

というのも,昨年度まで参加させていただいていた共同研究プロジェクト(こちら)で,山梨大学の先生が実施された利根川流域でのシミュレーションにおいて,将来は濁水の長期化等が懸念されるという結果が出ておりまして.

これは,将来気候で大雨が大規模化したり長期化することで土砂生産が増加し,濁水をもたらすというもので,様々な温暖化研究で指摘されている大雨の頻度増加などが現実のものとなれば,我々の研究でみられた影響が他の河川流域でも生じることが予想されます.

対策は流域や影響を受ける施設ごとに異なると思いますが,いずれの流域においても,そのような将来の濁水の頻度や濁度を定量的に評価することが必要となりますが,必ずしもそうした影響評価は十分行われているとは言えないかと思います.
温暖化研究の成果を社会に役立てることが様々に求められていますが,濁水についてもやるべきことは多いと考えられます.

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