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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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昨日,国土交通省から「今後のダム事業の検証の進め方について」という記者発表がなされました.

記者発表なので詳細はかかれていませんが,それでも検証プロセスのフローのイメージが示されており,「これからやります」という程度のものではない,本気度が感じられます.

ダム事業の検証と銘打ってはありますが,結局は対象流域の治水のあり方を検討することになると思うので,広く治水政策全体に影響を与えるものになると思います.

今後の治水理念が示されることでしょうから,対称となった流域での検証過程やその結論に注目していきたいところです.
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事業仕分け第3弾でスーパー堤防が廃止と判定されました.
これまで河川工学の講義の中でスーパー堤防について話していましたが,これからは学生の受け取り方も変わったりしますかね.学生の受け取り方が変わろうが,今後も講義で取り上げ続けますが.

今回の事業仕分けの報道では,スーパー堤防は無用の長物のような取り上げられ方ですが,治水技術として間違っているものではありません.実社会での事業としてそれを実現するための条件が,現在の日本においては満足されないということが,今回の廃止の理由でしょう.事業実施の経済性と,土地収用等の問題が解決される社会状況では有効な治水方策ののはずです.

今後の日本でスーパー堤防を実施する機会が訪れるかはわかりませんが,ひとつの工学知識として知っておくことは,いつか生きることもあるかもしれません.「全部つながらないと・・・」という意見もあるようですが,洪水流が強く危険な地域を補強することでも有用となれば,技術として採用されることもありえますし.

今回のスーパー堤防事業廃止から感じたことは,他の廃止とされた事業の中にも,理念や技術として正しくとも,社会状況にそぐわないために廃止の判定を受けたものもあるのではないかということです.したがって,廃止事業=無意味ではなく,現在は実施が困難というものもあることを,報道なり何なりで伝えて欲しいと思います.

そういう意味では,仕分け人の方々の事業へのコメントも,こきおろすばかりでないものがあって然るべきではないかと思います.報道されていないところでは,そのような発言もあるのかもしれませんが.安易に「スーパー無駄遣い」などというのは,いかがなものですかね.

オランダのデルフト工科大学などが,洪水対策訓練のためにコンピュータゲームを開発したという話題.毎日新聞より.

国土の4分の1が海抜0メートル以下にある「低地の国」オランダで洪水対策にコンピューターゲームを活用する計画が進んでいる。地球温暖化で洪水の危険が高まる中、シミュレーションを使った訓練で「まさかの時」に備え、対応を迅速化するのが狙いだ。(毎日jpより)

「堤防の亀裂を見つけて危険を知らせる杭を立てる」という内容だったりするらしいです.どんなインターフェースなのかわかりませんが,ユーザーが3D空間を移動しながら的な感じなんですかね.バイオハザードみたいな.あるいは地図上の危険地点を知らせるマークとかを探すのかな.でもそれだと,実際の現場でも危険を知らせるシステムが整備されていないと「訓練」にはなりませんわな.整備されているなら良いけど.

「降水量や水位上昇を予知して危険性を割り出し,どのような措置で被害が軽減されるか計算する」のが目的,ともあるので現場の作業員を動かすというよりは,管制システムのシミュレーション見たいな感じかも.

実物を見ていないので「ふざけてんのかな?」と感じないこともありませんが,オランダはかなり真剣にこの事業に取り組んでいるようで,インドネシアへの技術移転も検討しているとのこと.「ITを使い以下に早期警戒の仕組みを作るか」という目的はまっとうなものなので,そこへのアプローチがユニークだということで理解しましょう.こうした取り組みから「本物」が生まれることだってあるはずですから.

「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の活動に関しては,これまでも話題にしてきましたが,その中間とりまとめ案の公開に関する新聞記事が昨日出ました.asahi.comより.
ダムに頼ってきた治水のあり方の見直しを検討してきた国土交通省の有識者会議(座長=中川博次京大名誉教授)は13日、提言をまとめた。ダムありきではなく、それ以外の治水対策の組み合わせと、ダムを建設する場合とで安全性やコストを必ず比較。関係住民の意見も聴いて判断する。水没する上流の山村だけに犠牲を強いるのではなく、下流域の都市住民も含めた流域全体で治水対策を分担する手法で、従来の考え方を抜本的に見直す。(asahi.comより)
いずれニュースにはなるだろうとは思っていたのですが,新聞をみたら一面にデカデカと見出しがあったのでちょっとびっくりしました.それだけ社会的な影響や意味合いも大きいということかと思います.

記事によれば現在本体工事着工前の全国84か所のダムに適用するとのことですが,今後新たな治水事業を実施する時には同様の手法で検討と事前評価がなされることになるのだと思います.
国だけではなく,道府県の事業も対象となるので,国交省だけではなく地方自治体の土木行政に関わる方々もどのように治水を進めていくかということを考えることになると思います.国交省職員だけでは人手が足りませんし,公務員削減となればなおのことなので,今まで以上に地方の役割が重視されるかもしれません.最近の地方分権という動きとも重なりそうです.

記事では「流域全体での分担」を新たな治水理念として,今後の考え方の基本にするというように書かれていますが,それ自体は決して新しい考え方ではなく,ただ十分真剣に考慮されてこなかったり,諸々の障害で実現が困難だったわけで,少なくとも今後はこれまで以上に流域治水の考え方がきちんと議論されるのだろうと思います.

単に「ダムはだめ」ということから今回のような治水手法の見直しに至ったわけではなく,人口減少や財政状況を踏まえた上でのことなので,治水だけで閉じる話ではなく,国土計画と絡めた議論がなされるべきだと思います.

作業は9月からとのことですが,どんなことになるのか,非常に興味深いです.新しい治水理念に基づく治水事業,国土づくりが展開されていくことになるのか,あるいは結局いままでとさほど変わらないのか.新しいものが良いとは限らないので,どちらにすべきという意見はありませんが,少なくとも議論は今までよりも深まることを期待したいと思います.
近年の大雨による洪水被害に対する水防活動や河川管理のために,国交相がXバンドMPレーダという観測機器の設置を進めておりまして,その観測情報の配信が開始されたとのこと(こちら).

現在設定されているのは,東京・名古屋・大阪といった大都市圏近郊と金沢・富山を中心とする北陸,の4地域だけですが,今後は静岡・広島・岡山・九州北部などにも設置を予定されています.

従来のCバンドレーダにくらべて観測時間が短く,空間解像度も高いのですが,公開されている画像からはその恩恵が十分に得られないかもしれません.もっとも,それら詳細情報は一般の方々よりも実際の防災に関わる人々にとってこそ重要なので,そうした方々が十分に情報を活用できればよいのですが.

といいつつ,XバンドMPレーダの観測情報を以下に活用するかに関しては研究が必要なところで,そのための技術開発コンソーシアムが立ちあげられています.私もそのメンバーで,データを提供して頂き,研究に取り組む予定なのですが,いまのところコンソーシアムのメンバー向けデータ配信の情報はないんですよね.
一般向け公開が始まったので,そろそろ我々にもデータ配信が始まるのではと期待してはいますが.
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