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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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本日はGEOSS-APのSide EventであるAsian Water Cycle Initiativeのミーティング.午前中はこれまでの活動のサマリーと,干ばつ・氷河(雪)・洪水といった3つの水災害テーマからの報告などがありました.
3つのテーマからは,いずれもダウンスケーリングによるGCM出力の詳細化が話題としてあげられ,国連大学のヘーラト先生もOne of Top Priorityであるとお話されていました.

どのようなGCM出力かは特定されていませんでしたが,長期的な水管理には温暖化実験出力の活用も考慮されているはずですし,その技術の確立についてのニーズも高いだろうなと思います.

色々な研究者が温暖化実験出力のダウンスケーリングに取り組んでいますし,私もWRFを利用してCMIP3データのダウンスケーリングはしているので,技術的には可能ですが,どのモデルを初期値・境界条件として使用するか,様々なパラメタリゼーションのいずれを適用するか,バイアス補正をどのように行うか,という点についてはまだ研究が必要で,結果を今すぐ公開し,水管理に使ってもらうというわけにはいかないと思います.

ダウンスケーリングに必要な前処理用のスクリプトなどを公開し,多くの研究者がそれを使って様々な検証や検討をしてくれれば研究の速度も上がるし,全体としては良いことなのかもしれませんが,十分理解されていない方が使用して,不十分な検証で温暖化等の影響を声高に言われたりするのも不安なので,簡単にはできないでしょうね.気候モデラーの方々もCMIP3などが利用される際のそうした点を懸念されていますし.

豪雨等の極端事象に関連するデータの提供なども話題になりましたがなかなか難しいとのこと.ダウンスケーリング結果に関してなのか,あるいは観測データに関してなのかちょっと聴き逃しましたが,いずれにせよ水循環研究あるいは実際の水管理に有用なデータへのニーズが高い.

午後は干ばつ,雪・氷河,洪水の3つの水害のグループにわかれてそれぞれの分野で今後の活動をどのように進めていくかといった戦略とタイムラインなどが議論されました.各国のおかれた現状が違う中で,進め方は当然異なるわけですが,お互いの活動を知ることが重要だということみたいです.たぶん.

その後はAWCIでアーカイブされる観測データの品質管理システムやICHARMで開発された(?)分布型流出モデルのチュートリアルがあって,色々とトラブルはありましたが,単なる議論だけではなくて,実際のデータが出てきたりソフトが動いたりと,活動が目に見える形になったというのは大きな進展だと思います.実際の成果が出てくれば,参加する各国のモチベーションの向上や活動も加速するのではないかと思いますし,大きな意味があるのではないかと思います.

ということでバリ島への出張も終わりです.そろそろ空港に向かい,夜中の便で日本に向かいます.

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3日目.昨日のグループセッションでの議論の報告とまとめのパネルディスカッション.

報告からは気候変動・炭素循環・生物多様性の3つのグループは科学的な色合いが濃く,水災害・水資源のセッションは昨日の発表や議論にもあったように政策的対応への考慮も含まれるなど,やや色合いが異なって
いるように感じました.それだけ水分野は環境に関わる研究分野の中でも社会における実益の実現が求められているということに他ならないかと思います.

報告のあと,今回のシンポジムから出す提言の取りまとめに関する議論がありました.この辺は各グループや各国での取り組みの差や,GEO(Group on Earth Observation)およびGEOSS(Global Earth Observation System of Systems)への要望の違いがあるようで,色々な意見が出ていましたが,正直なところどうすることが最適なのかということは良くわからない感じでした.そういう難しいことは上の人たちが考えて調整してくれると思いますが.

ということでGEOSS-APは終了.今回受けた印象は,少なくとも出席者のレベルでは参加する国々の間で良いFriendshipが出来ているということでした.地球環境に関わる活動においては,各国での取り組みももちろん大切ですが国を超えた地域での取り組みが必要なこともあると思いますし,それが実現する土壌はあるレベルにおいては構築されつつあるように思います.この友好的な関係を今後も維持し,さらに実効性のあるものに育てていくような継続性のある活動が続けば良いのではと思います.

GEOSS-APは終了ですが,明日はAsian Water Cycle Initiative(AWCI)の会合.私も出席するので,あと一日,がんばります.

GEOSS-AP2日目.
本日は午前・午後ともグループにわかれてのセッション.私の研究に関係しそうなのは,水関連と気候変動のセッションのふたつがあったのですが,気候変動は主としてインドネシア周辺や熱帯域の話のようだったので,
結局Hydrometeorologival-Related Disaster and Water Resources Managementという水関連のグループのセッションにでました.

午前のセッションでは干ばつ・台風・氷河・温暖化適応策という4つの話題に関する前回の会合(2009年12月・東京)のまとめと,アジアの15カ国からの各国の気候変化の現状とそれらに対する適応策の報告がありました.適応策に関しては全ての国から報告があったわけではなく,まだ現状の把握や将来予測の検討などが必要という印象でした.

日本においては気候変化への適応策のあり方に関する答申が既に出されていますが,現在も新しい治水対策の方針が議論されている最中ですし,どこかの流域に関して具体的な適応策が決定され,進められているわけではないので,これからの課題だろうなと思います.個人的には,現段階では丁寧なアセスメントを進めることに重点がおかれるべきだと思いますし.

午後のセッションで,Asia-Pacific Water Forum(APWF)というものの紹介がありました.アジア太平洋域での持続可能な水管理に貢献するために創設されたもので,政策決定に近いところに対して様々な助言を行う集まりのようです.たぶん.
今回はGEOSSという地球観測コミュニティの会合ですが,それと水関連の政策決定者とをつなぐ活動をするということだと思います.3月末にAPWFの第一回会合が開催され,今回の水関連のグループの議論もそのインプットにもなるようですし.

また,シンガポールから参加された社会科学の研究者の方々から,研究コミュニティと政策決定との関わり方についての発表がありました.議論の中では,研究コミュニティは自分たちの専門的な言葉を政策決定者あるいは社会に理解可能な言葉として発信する必要があるとのことが言われました.おそらく新しい意見ではないと思いますが,その必要性が言われるということは,実際にはそのような土壌がまだ出来ていないということでしょう.

一般の人々向けの執筆活動は必ずしも研究コミュニティによって評価されないボランティア的な活動でインセンティブがないとのお話もありましたが,どうあるべきかについては難しいと思います.
社会からすれば,予算をもらっている研究者はその社会への還元として成果を説明するための努力もして然るべきだと考えるかもしれません.評価されるかどうかではなく,義務として取り組むべきだと.
しかし,そのための労力を論文執筆や予算申請書の作成に割けば評価される成果につながるかもしれないわけで,自ずからそちらに時間を割くようになると思います.社会への情報発信を怠ったからといってペナルティがあるわけではありませんし.

もちろん,研究者が自分の成果をわかりやすい形で広く発信することは専門でないにしても関心を持つ他の研究者に成果を知ってもらったり優秀な学生を獲得することにもつながるかもしれませんし,プラスの影響もあると思いますが.

議論の内容は温暖化政策に関するものだったので,すっかり脱線した形になってしまいましたが,まぁ思ったこととして記しておきます.
政策決定に科学的な知見を反映させることは,現在の地球環境問題を考えれば不可欠でしょう.かといって政策決定に関わる人々が専門的な論文を読んで理解するのは容易ではないと思います.
一方で地球環境関係の研究者にとっては,自分もその一員である社会のことを考えたり理解することは不可能ではないと思います.科学的な知見を政策に反映することが期待されているのであれば,その実現に一番近いところにいるのは政策決定者ではなく研究者なのかもしれません.

本日から開催のThe Forth GEOSS Asia-Pacific Symposiumに参加.インドネシア・バリ島にて.
科学的な会合というよりもプロジェクトの進捗報告や今後の進め方に関する議論を行う感じ.ビジネスミーティングですな.

さほど大きな会合ではないだろうと思っていたものの結構大きな会場で200人以上の参加者がいたのではないかと思います.二日目にはグループセッションが予定されていて,気候変動,二酸化炭素関連,水循環,生物多様性の4つの分野にわかれ,しかも多くのアジアの国々から参加者がいるということで,まぁ大きな会合になるのも当然かもしれません.

初日のWelcome Speechや基調講演,Generalな報告などで,GEOSSの活動状況とそれがどのように社会に貢献するかというお話でした.以前からGEOSS関連の会合には出る機会があったので,その意義などは知っているはずですが,再認識することや新しい活動や成果などについて知ることもありました.

出席している人間がその意義や新しい活動を知るようでは,一般の方々には当然知られていないだろうと思いますが,昨今の日本の科学界をとりまく状況を考えると,それをそのまま放っておくわけにはいかないと思います.国際的な大きな動きがある中で,そこに貢献している研究機関や省庁はそれをより社会に周知することが,人々の支持を得て,活動の継続につなげる必要があるはずですから.

個人や比較的小さなグループでの研究活動であればその程度でホームページでの情報発信など地味なやり方で良いかもしれませんが,GEOSSには文科省や環境省,JAXAなどの公的機関が積極的に進めている活動ですから,効果的な広報ができないものでしょうか.内容は一般の方々には良く分からないかもしれませんが,だからといって伝える努力を怠るのでは今までの科学技術の取り組みとかわりませんし.

最近は一般のニュースをわかりやすく解説するようなテレビ番組もあるし,そのような感じで普通に話したら専門的で良く分からない話になってしまうことをわかりやすく伝え,活動の意義を周知するようなことをマスコミがやってくれたりしないもんですかね.

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