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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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一週間ほど前に事務から転送されていたメールをいまさらながらに確認しました(急ぎでなく,読んでおこうかなというメールは往々にしてこうなります).

メールのタイトルは「研究開発システムの改革の推進等による…」という長いもので,研究環境の改善につながるものか?と期待があったので仕分けずにおきました.添付資料によると,研究開発の推進に関する法律(とても長い名称ですが,「研究開発力強化法」と略されるようです)が昨年交付・施行され,各大学でもその法律に沿って方針などを定めなさいということでした.

とはいっても具体的に何をどうするのかということですが,示された基準に即して人材強化を図りなさいということらしいです.いくつか要約して示しますと

・若年者(概ね37歳以下),女性,外国人研究者の割合を向上させましょう
・若年研究者の自立と活躍の機会を与える仕組みを導入しましょう
・出産・育児を考慮した業績評価などを取り入れましょう
・卓越した研究者の給与に関して優遇措置を講ずるなどしましょう
・能力及び実績に応じた処遇と,優れた研究開発者等に公正な評価を行いましょう

などなどです.これによって,各研究者のやる気を起こさせて,国際的な競争力強化につなげようというのが目的のようです.何年か前に発光ダイオードの開発に取り組んだ研究者の方が,実績が正しく評価されていないとかで訴訟をしていましたが,その後も日本においては研究者がその能力に応じて評価されるようになったとは必ずしも言えないように思います.

上には示しませんでしたが,人材活用の基準の中には任期制の適用範囲の拡大なども含まれています.能力主義や任期制の導入は,研究者にHard Workを強いるので,競争力の向上や成果の蓄積につながることが期待されますが,現在の日本の研究環境はそれを可能にするものかどうかは疑問です.特に大学においては,教官は研究だけでなく講義や学内の雑務を行う必要もあり,研究に集中できるのはわずかな時間です.
そのために,上記基準では事務スタッフの充実や休暇制度の導入で研究に集中できる環境を整備するなども示されていますが,これらが一度に示されるのではなく,ある部分を整備できたら次のステップへ,という形で進めないと結局うまくいかないのではないかとも思います.

本法律は文部科学省で立案されているのだと思いますが,文科省の官僚の中に大学や研究機関で研究活動に取り組んだ経験のある方がどのくらい含まれているのか,という点も大事だと思います.おそらく専門家や第三者の意見を訊いてはいると思いますが,人の話を聞くだけでなく,身をもって感じないと何かに取り組むというのは難しいと思います.では研究者が文科省に転職するか,というとそれも甚だ疑問ですが,少なくとも修士や博士課程を経験した方が入省すれば,より大学や研究機関の実情を理解し,適切な策を講じてくれるのではないかと思います.
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