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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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「国立大学法人化後の現状と課題について」の中間とりまとめが文部科学省から公開されたとのこと(こちら).

とりまとめ資料は本文と参考資料をあわせて100ページを超えるもので,とても読んでいられないので概要しかみていませんが,色々な側面からわかりやすくまとめてあると思いました.

大学の中にいる我々が法人化について話すと,マイナス面ばかりになりがちだったりするのですが,報告では良くなった点も挙げられていました.
教育内容が改善されているという意見や,社会貢献が活性化されている地域もあるとのことで,これは良いことだと思います.

一方,研究者が自身の研究に割くことができる時間は減少しているというアンケート結果があり,論文数も減少しているというデータがあることから,やはり研究以外の業務が増え,成果を出すのが大変になってきているといえると思います.

諸外国との比較で教員一人当たりの学生数というのがありましたが,欧米では4~5人程度であるので,日本では6~7人だそうです.これは,学生数が少ないというより,教員数が多いとみるのが正しいかと思います.日本では法人化によって教職員の定数削減が進められていますが,今後ますます差が開くかもしれません.
教職員が減っても仕事は減らない,あるいは増えているというのが現場の印象で,さらに指導すべき学生も増えれば,自分で研究するというのが難しくなるので,研究力を伸ばすというのはしんどくなるのではないでしょうか.

最後に今後の改善方策というのがあり,教育研究力・ガバナンス・財務基盤の強化の3つの項目がありましたがいずれにおいても教職員数の増加や充実といったことには触れられていませんでした.「強化」は良いですが,それを実施するのは人です.人の数が変わらないのに強化が実現されるのか甚だ疑問ですが,文科省は土管が得ているんでしょうね.もちろん今いる我々もがんばりますが,一緒にがんばってくれる方々が増えれば非常に心強いんですが,どうにかなりませんかね.
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「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の活動に関しては,これまでも話題にしてきましたが,その中間とりまとめ案の公開に関する新聞記事が昨日出ました.asahi.comより.
ダムに頼ってきた治水のあり方の見直しを検討してきた国土交通省の有識者会議(座長=中川博次京大名誉教授)は13日、提言をまとめた。ダムありきではなく、それ以外の治水対策の組み合わせと、ダムを建設する場合とで安全性やコストを必ず比較。関係住民の意見も聴いて判断する。水没する上流の山村だけに犠牲を強いるのではなく、下流域の都市住民も含めた流域全体で治水対策を分担する手法で、従来の考え方を抜本的に見直す。(asahi.comより)
いずれニュースにはなるだろうとは思っていたのですが,新聞をみたら一面にデカデカと見出しがあったのでちょっとびっくりしました.それだけ社会的な影響や意味合いも大きいということかと思います.

記事によれば現在本体工事着工前の全国84か所のダムに適用するとのことですが,今後新たな治水事業を実施する時には同様の手法で検討と事前評価がなされることになるのだと思います.
国だけではなく,道府県の事業も対象となるので,国交省だけではなく地方自治体の土木行政に関わる方々もどのように治水を進めていくかということを考えることになると思います.国交省職員だけでは人手が足りませんし,公務員削減となればなおのことなので,今まで以上に地方の役割が重視されるかもしれません.最近の地方分権という動きとも重なりそうです.

記事では「流域全体での分担」を新たな治水理念として,今後の考え方の基本にするというように書かれていますが,それ自体は決して新しい考え方ではなく,ただ十分真剣に考慮されてこなかったり,諸々の障害で実現が困難だったわけで,少なくとも今後はこれまで以上に流域治水の考え方がきちんと議論されるのだろうと思います.

単に「ダムはだめ」ということから今回のような治水手法の見直しに至ったわけではなく,人口減少や財政状況を踏まえた上でのことなので,治水だけで閉じる話ではなく,国土計画と絡めた議論がなされるべきだと思います.

作業は9月からとのことですが,どんなことになるのか,非常に興味深いです.新しい治水理念に基づく治水事業,国土づくりが展開されていくことになるのか,あるいは結局いままでとさほど変わらないのか.新しいものが良いとは限らないので,どちらにすべきという意見はありませんが,少なくとも議論は今までよりも深まることを期待したいと思います.
国家基幹技術の一部として活動している「データ統合・解析システム(DIAS)」の第4回フォーラムに参加.東京大学・鉄門記念講堂にて.

平成18年から始まり,今年度で終了のプロジェクトですが,総合科学技術会議が平成23年度科学・技術重要施策アクションプラン(こちらから)にも名前を挙げて高度化・拡張を実施することと記載されているので,まだ少しの間は活動が続くのではないかと思います.

時間の制約で,個別の研究事例の発表はポスターセッションのみで,フレームワーク等に関するプレゼンテーションが主たるものでしたが,東京大学・生産技術研究所の喜連川教授の「あれば便利なものではなく,使わざるを得ないものの開発」という言葉が頭に残りました.一応DIASの活動としてこっそり進めていることは,イノベーションといえるほどのものではありませんが,個人的にはかなり有用だし,ニーズも多いものだと思っているので,今後のやり方しだいでは「使わざるを得ないもの」になるんじゃないかなぁという気もするので,うまくやらねばと思う次第であります.

最後のぱんるディスカッションでは,今後どのように発展していくべきかという議論がなされて,今ある課題だけでなく,新たな課題の発見にも取り組むべきではないかという意見がある一方,顕在化している課題の中にも解決の方向性すら見出せないものもあり,そういうものに集中して取り組むことがあっても良いのではという意見ありました.
また,活動が保証されているのかわかりませんが.2020年には日本の地球観測データの90%をカバーするシステムとするという野心的な目標も挙げられており,実現したらとんでもないものになるのではないかと思います.90%となれば気象庁の観測データ等も当然含まれると思いますし,現在のフレームワークを大きく越える組織間の連携が必要になるはずです.
集めたデータをどう活用して社会利益に結びつけるかがDIASの肝なわけですが,90%のデータを相手にするとなれば利益分野も多様化し,ひとつのプロジェクトには収まりきらないのではという気もしますが,まぁ私のような下っ端は気にする必要もないでしょう.

また,先の目標としては世界の地球環境データ利用のハブとなることが挙げられています.これまた野心的ですが,まずは目標を設定しないことにはそこに近づくことすらできないと思うので,掲げるには良いと思います.「言っておいてできないじゃないか」と,マニフェスト違反のようなことをいわれると困りますが,研究には不確定要素はつきものなので,まずは努力を見守ってほしいと思います.

いちおう私もDIASメンバーの一員なので,今回のフォーラムからあまり新しい情報を得たとかいうことはありませんでしたが,まだちょっと続きそうというのと,今後どんな気持ちで取り組んでいくのが良いのかを考える機会にはなったと思います.
「文科省SOS 阪大・九大消滅も」という我々大学関係者にとってはややショッキングな見出しの記事が公開されました。
参院選後に始まる平成23年度予算の概算要求で、文部科学省が大学の日常的な教育研究を支える「国立大学法人運営費交付金」などについて削減対象から外すよう要求していく方針を固めたことが7日、分かった。菅内閣が6月に閣議決定した「財政運営戦略」に基づき、省内で試算した結果、同交付金の削減額は約927億円。これを実行した場合、大学破綻(はたん)によるわが国の知的基盤の喪失や研究機能の停止といった深刻な結果を招く危険性が高いことから、文科省は「削減は到底困難」としている。
MSN産経ニュースより)
記事によると、6月に閣議決定された財政運営戦略において基礎的経費が前年度を上回らないようにするという方針によって各予算計画をたてると、上のような規模で大学の運営費交付金が減額される可能性があるとのこと。これが大阪大学と九州大学を消滅させるか、地方・小規模の27大学をなくさざるを得ない規模らしいです。決定事項ではないにせよ、国家の財政が大学にいつ及んでもおかしくない状況になりつつあるということはいえそうです。

もし減額となった場合に今と同程度の大学運営を維持するには一人当たりの学費を年額23万円値上げしなければならないとのこと。あるいは研究予算を現状から32%減としなければならないそうです。すでに数%ずつ毎年予算が減らされ、競争的資金についての増額などが求められているなか、後者を受け入れることは到底難しいといわざるを得ません。かといって学費の値上げは収入の少ない世帯の学生にとっては学ぶ機会を奪われることになりますし、これも社会に受け入れられるとは思えません。

文科省も大学の研究機能の維持と学生の学ぶ機会を守るという意味でも、削減対象から外そうと努力してくれているので、ぜひ頑張って欲しいです。と同時に、大学で働く我々はそうした文科省の方々や、あるいは大学の機能は維持すべきだと考えて下さる人たちの気持ちに応えるようがんばらなければいけないと思います。

テレビ等の報道をみていると、政治家の方々の言動には疑問を感じることも少なくありませんが、国の知的基盤を守るという良識を持ち合わせてくれていることを期待したいと思います。

世界の研究論文に占める日本の割合が減少傾向にあるとのこと。サイエンスポータルより。

割 合として減少しているとのことですが、絶対数としても減っているんでしょうか。記事の中では中国の成果が占める割合が高くなってきているとのことですが、 確かに国際学会にいくと中国出身の方々が多いなと感じますし、その一方で日本人は少ないようで寂しく感じます。まぁ総人口が違いますから、色々な面で日本 に並び、追い越そうとしていることを考えれば止むを得ないような気がしないでもないですが。

記事の中ではそのような分析はされておらず、 日本の研究コミュニティが元気がないといった論調のように感じます。まぁ人口が多いとはいえ、高等教育は日本の方が浸透しているようにも思いますし、やは りまだ日本の研究力が高くて然るべきという見方が一般的なのかもしれません。

記事の中では日本の研究業績が低迷していることの原因に国際 的な共同研究体制が不十分なことが挙げられていましたが、これは必ずしも当たっていないように思います。それ以前に研究をまとめる体制が未熟というのがあ るのではないかと思います。(上記意見は外国の方によるもののようなので、日本の研究者を取り巻く環境が理解されているかどうか疑問です)。

私 は欧米での研究経験がないので聞いたことにすぎませんが、欧米では研究者がアイディアを練り、技術スタッフがその支援をしながら研究をするという体制がで きており、効率的に成果を出すことができるそうです。日本では(少なくとも大学では)研究者は研究計画を立てるところから、研究環境の整備、実験等の作 業、それに加えて諸々の事務仕事など、なかなか大変です。

だから日本の業績が低迷して良いわけではないと思いますし、研究コミュニティにいるものとしては他人事ではありませんから。こうした事実を目にした以上、発奮せねばいけませんな。
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