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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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昨年色々と盛り上がった事業仕分けの第二弾が始まるようですね.それを機に櫻田淳・東洋学園大学准教がMSN産経ニュースの正論で論を述べています(記事はこちら).

記事の中で櫻田准教授は,事業仕分けの論理は「無駄の排除」であるが,事業仕分けそのもの,さらには政治という営みそのものが「壮大な無駄」であるとのべ,仕分けに関与する議員はそのことに認識が及んでいるのかと疑問を呈しています.

政治そのものがなぜ無駄なのか.記事の中では「政治とは,後世には何も残すことができない.政治上の業績は,決して,『永遠の生命』」を持たないのである」と述べられています.後世に何も残すことができない政治は社会の安定や繁栄を実現し,その中で「永遠の生命」を持つ学術・芸術が業績を残す.そうなってこそ政治は意味を持つと.

学術・芸術そのものには社会を安定させる力はないかもしれません.したがってそこは政治に頼らざるを得ないわけですが,その政治によって学術・芸術が発展を妨げられては本末転倒というわけです.昨年の事業仕分けの構図はまさにそうなろうとしていたと言えるかもしれません.

櫻田准教授は最後に「『永遠の生命』を持つ業績を残す学術,芸術の活動に比べれば,政治は所詮,『二流の仕事』でしかない.」と締めています.
ここまで強気な発言はなかなかできませんが,しかし学術の世界に身を置くものとしては,この言葉に賛同し,自らの活動が持つ価値を再認識して良いのではないかと思います.

だからといって慢心して良いわけではありません.政治に社会の安定という大きな仕事を願いながら,自らも自負を持ちつつ不断の努力を続けてこそ,それぞれの役割が果たされ,社会の繁栄につながるはずですから.
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ちょっと(だいぶ?)前に「分数ができない大学生」という本が話題になったことがありましたが,その編著者である西村和雄・京都大学経済研究所長のインタビュー記事がサイエンスポータルに連載されていたのですが,それが第4回をもって完結したので,紹介がてら何か書きます(記事はこちら).

内容は「ゆとり教育」が学力低下につながった原因というか理由を,要素をとりあげながら説明し,ではどうするべきなのかということを述べたもので,算数や数学,物理などの理科教育を選択性ではなく必修科目として教える必要があるというものです.だいぶ大雑把なまとめなので,関心のある方はしっかり記事を読んで頂きたいと思います.

第4回の記事では物理を履修する学生は10%程度ということが書かれていましたが,正直びっくりしました.私の通っていた高校は教養主義とかいって,文系の生徒も物理を途中までは学びましたし数3も必修でした.理系の生徒も高3になっても社会を2科目学ばされたりで,受験体制という意味ではかなり不利と言わざるを得ない教育で,卒業生の7割くらいは浪人して大学受験の準備をしていました.普通の高校では,そんな受験体制では評価も下がるということで文系では数学や理科を学ばないということなのだと思いますが,それでも半分くらいの学生は物理を勉強すると思っていましたが,まさか10%とは.

また,小学校の1,2年生では理科が無く,生活科というのがあるそうで,これもびっくりしました.今も理系の研究者として生活している私としては,せっかくの楽しい科目を教えないなんて,子どもたちがちょっとかわいそうではないかと思います.子供の判断基準は基本的に楽しいか楽しくないかだと思いますし,理科の楽しさを伝えることは将来理系に進みたいという気持ちの芽を育てる最初の一歩のように思うのですが.

理系教育の衰えは日本にとって危機的といった論調で,まぁ確かにそうかもしれませんが,子どもを持つ親たちにしてみると,自分の子供たちが基本的な算数の力や理科の知識を身につけていないことに不安を覚えるのではないかと思います.大きな目で国のことを憂えるのもそうですが,家族レベルでも,やはりきちんとした教育をして欲しいと思います.

弁護士として働いている友人と学生時代に話していて,司法試験の勉強するなんてすごいな,と言ったら,「法解釈は理系の方が得意なはず」と言われました.法解釈には論理的思考が要求されるので,理論にそって考える数学や物理が得意な人の方が向いているとのことでした.
理系の人間を育てるだけではなく,文系社会でも論理的思考の重要性は疑いのないことと思いますし,その基礎が算数・数学や理科教育にあるのだとすれば,幼いころからの教育でもそれらを重視すべきでしょう.
国交省より,第3回「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の議事録が公開されました.リンクはこちら

40ページにも及ぶ議事録なので,読むのは大変ですが内容はおもしろいです.
おもしろいというか,議論が白熱している感じが伝わってきます.各委員が好き勝手言っていて,果たして収まりがつくのだろうかと思わないでもありませんが,十分な知識を持ち,それぞれの治水観のようなものを培って来た方々のやりとりですから,遠慮なく意見の応酬がなされているのではないかと思います.適当なところに落とし込めば良いだろうといった感じではなさそうで,ちょっと嬉しいです.

感想はさておき,内容はというと,前半は関東学院大学の宮村忠先生による情報提供で,こちらは資料なしで議事録だけ読むと正直つらいです.
後半はそれこそ思い思いのことを言っていますが,ケーススタディが必要ではないかというのは共通した意見のようです.ただし,実際の河川や流域でなくとも,とにかくひとつの対象についてとことん考える必要があるのではないかということのようです.
また,仮にひとつの治水計画を立てるとして,担当する行政の内部でも,あるいは提案するコンサルでも,多様な意見を持ち寄って議論をするべきとの意見もありました.治水方策は多様ですし,組み合わせも多様ですから,意見も多様で然るべきですから,ぜひそうなって欲しいと思います.事業を進める効率性は落ちるかもしれませんが,効率ばかりを求めた結果が今日の河川行政ですから.

あと,治水技術などに関してもっと研究すべきという意見もありました.最近は環境をテーマにした研究が多く,箱庭みたいなことをやっているという厳しい発言でしたが.背景として,社会が環境一辺倒であるとか,治水技術の研究をしても予算はとれないし,研究者としては評価されにくいといった土壌があるとも書かれていました.確かに重要なことはわかりますが,どこか古い臭いがするのは否めないと思います.こんなふうに(一応)若手研究者の私が思うのはいかんことかもしれませんが.研究とはいかなくても,せめて勉強くらいはしないといけないのかもしれません.

まぁ40ページを簡単にまとめられるわけもなく,ここに書いたのはほんの一部でしかないので,関心のある方には読んで頂きたいと思います.
ちなみに,話し言葉をそのままワープロ打ちした感じなのでかなり読みづらいですが.

卒論が終わったら研究ができると思っていたのですが,学会や,その後の海外出張でなかなかそうもいかず,ちょっと時間が出来て勉強し始めたら3月も終わりに近づこうとして,ようやく研究作業を始めました.もうすぐ新学期が始まって演習や実験の準備も始まるというのに.なんとかやりくりせないかんですな.

研究というと何か没頭するイメージがあるかもしれませんが,私の場合テーマは複数あって,それぞれの段階も異なるので,相変わらずのマルチタスクで進めることになるわけですが.

ひとつめは一昨年チベット高原で実施した現地観測でのデータを用いた解析結果についての論文執筆.昨年の学会でちょっと話をしているので,その方向で内容をちょっと詳しくする感じでまとめる予定です.

ふたつめは温暖化実験結果のダウンスケーリングについて.卒論生が進めてくれたので,それをさらにブラッシュアップする感じで.まずは使用するデータの再確認などが必要なわけですが,イメージはあるので,ある程度のところまでは作業をガガッと進めたいです.
あと,温暖化実験結果は膨大なデータ量で,金沢大学にそれを持ってくるのも大変なので,データがアーカイブされている東大のサーバでダウンスケーリング計算もできないものかと試してみたのですが,AIXというあまりなじみのない環境のため,まずはそちらの設定から.とりあえずWRFをコンパイルしようとしたもののうまくいかず.一筋縄ではいかないかも.

みっつめは衛星データ同化に関して,新しい手法を適用するための設計.これまで勉強したことをまずフローチャート的にまとめているので,具体性はまったくありませんが,とにかくコンポーネントを細かに落とし込むところからやってみようかと.知識を得ることと,そこから何かを実現することには往々にしてギャップがあるわけで,これからいくつもの壁にぶち当たると思いますが,ちびちび解決しながら進めたいと思います.
今のところこの研究が一番面白いと思っているので,ちゃーっと進むと嬉しいんですけどねぇ.

他にもやりたいことがあって,とはいえ思ったほどの時間はないわけで,どうしたものかと思ったりするわけですが,「集中力」を意識すれば短時間で進められるのではないかと今更ながら思いました.
はっきりいって「超初歩的」なことですよね.そんなことも考えずに仕事をしていたのかと叱られそうです.どちらかというと気が多い方なので,集中するのは得意な方ではないのですが,多分それも意識と訓練でどうにかなるのではないかと思うわけです.
マルチタスクで集中力ってなんじゃ?という気もしますが,まぁ小学生が一日に国語・算数・理科・社会を,それぞれの時間ごとに集中して勉強していると考えれば問題ないでしょう.

ということで,とりあえず「集中力」をテーマにがんばりたいと思います.これを機に一生ものの集中力が養えれば,なんて思ったりもします.
全国知事会が出先機関改革案の中で全一級河川の移管を要求するそうです.47ニュースより.
全国知事会プロジェクトチーム(PT)は22日、国の出先機関改革案を固めた。国土交通省地方整備局が管理している1級河川109水系に関し、すべての整備や管理の権限を都道府県など地方に移すよう要求。国の出先機関の事務は、半分以上を地方に移すべきだとした。事業の経費は交付金などで財源を確保するよう求める。(47ニュースより)
各都道府県が地元の一級河川の整備と管理を実現することができれば,すでに所管である河川と合わせて一元的な管理が可能となるでしょうし,流域管理という観点からも良いように思います.また,職員の異動の観点からしても,都道府県職員の方が一つの河川と長く付き合うことが可能でしょうから,それもまた河川管理の観点からは良いように思います.

あとは,権限が移管された時に実際に整備・管理を担う人材です.地域が主権を持った時に,何が理想的な河川整備・管理なのか,その実現には何が必要で,どうすればよいのか.そのために基本的な知識を身につけ,考える姿勢と力を持った人が必要になってくるはずです.主権が移管された時はわかりませんが,現時点では都道府県庁には各地域の大学を卒業した学生が就職するケースが多いと思いますし,彼らへの期待も高くなるのではないかと思います.

そのような中では,地方大学の土木系学科を卒業した学生へ求められることは自然と高まるはずです.河川行政に限らず,地域づくりにおいても,それら学問の基礎などを学んだ人材なしには主権が委譲されたところでその可能性を十分に発揮することは容易ではないと考えられます.
しかし残念ながら,現在のところ土木系学科の人気はさほど高くありませんし,土木系学科の無い大学もあります.また,さらには理系離れなんてことも言われています.そうした中で,多くの優秀な土木系学科卒の人材が,十分地域に供給されるのかが懸念されても良いように思います.

地方・地域が主権を持つことは良いことだと思います.しかしそれと併せて,将来必要となる人材をどのように育て,獲得していくのかという点についても考え,議論して欲しいと思います.
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