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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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サイエンスポータルにて,大学院進学時に,元々在籍していた大学・高専と別の機関を選んだ時の移動の効果に関する記事が掲載されていました(こちら).

調査対象となったのは全国の12大学の理工系大学院の修士2年生ということで,サンプルとしては限られているように思いますし,対象となった大学も一般的といってよいのかどうか気になるところでしたが,まぁ参考にはなるのかもしれません.

結果としては,大学院進学時に移動した学生の方が博士課程への進学予定者の割合が高いということと,大学院の教育・研究をより肯定的に評価する傾向があったそうです.慣れた大学,研究室をわざわざ離れるくらいですから,意欲の高い学生が多いうということなのでしょう.

私も学部から大学院に進学するときに研究室を変わりましたが,結果として良かったと思います.土木という広い知識が要求される分野では特にそうかなと思いますし,研究内容だけでなく異なる研究スタイル・環境にふれることや,多くの人との出会いは学問的な成長に加えて人としても成長の機会を得られるのではないかと思います.

記事は最後に「調査結果は東大を頂点とする大学の序列化がはっきりしている日本の場合,上の序列への方方向の移動となりがちで,各地に有力大学がある米国のようには学生の流動化が進んでいない」としており,この点はやや問題というか残念な気がします.
地方大学では成長した学生が他の大学へ進学してしまい,他大からの優秀な学生はあまり来ないというのでは地方大学は疲弊する一方ですから.

優秀な学生が来たくなるように大学が努力すべきだという意見ももっともです.そのためには優秀な教員・研究者に対して良好な研究環境を提供することも必要ではないかと思います.となると,大学だけではなく文科省の協力も重要なはずです.
現在の日本の大学のあり方を文科省がどう考えているのかわかりませんが,各地に優れた研究能力をもった大学を確立し,切磋琢磨し研究者や学生の流動を促進し,刺激を与えつつさらに成長するようにしたいと考えるなら,地方大学重視な視点もあっても良いのかなと思いました.
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毎月(?)土木学会からふたつの論説が公開されていますが,今回はふたつの論説とも面白いと思ったので紹介.記事はこちらから.

ひとつめは,リバーフロント整備センター理事長の竹村公太郎氏の「文明の頂点にて」というもの.
文明の盛衰を人口の変化と対応するものと考えると,今後人口減少が見込まれる日本は現在がその文明の頂点であると.ただ,これから下り坂ということを嘆くのではなく,そこにおいては過去を振り返ることと将来を見通すことの両方が可能であり,これからどうすべきかをしっかりと考え未来にむけた準備が必要であるとのことでした.具体的にどうすべきかということについても,いくつか述べられていました.それらに対しては色々な意見があるとは思いますが,いずれにせよ今を未来が見通せる時代として捉えるというのは大事な視点かと思います.

ふたつめは日経新聞論説委員の塩谷氏の「アカデミズムの存在理由」.
事業仕分けによって危機にさらされた科学者たちが,その必要性を一斉に声高に叫びだしたことは,これまでの説明不足を棚に上げた既得権益の擁護ではないか,と述べています.また近年,科学技術が国民の生活に近づき「公共事業化」の感を帯びてきたとも.そうした中で,これまでも社会に対する役割を果たすという使命を帯びながら研究に取り組んできた土木は,社会に対する説明を必要とされるようになった科学界の中でもひとつの指標となり得るのではと述べています.
常に社会の問題に取り組んできた土木は,今後の課題に対しても科学技術の必要性を明確にできる分野であるし,今の流れに乗って積極的な発信をしてはどうかというものでした.

ふたつめの話題に関しては,最近も研究者が情報発信しなくてはいけないのでは,とここにも書いたばかりだったのですが,特に土木系はその土壌があるということには気づかなかったので,「ああそうかもしれないな」と感じました.
その一方で,必要性がすぐさま主張できない学問分野が弱くなってしまうのでは,と思うところもあったりするので,全研究コミュニティとしてはそれだけではいけないのかなとも思ったりもします.

とはいえ,今回の論説はぜひご一読を.
研究という仕事をしていますと,たまに知らないところから学会参加や論文執筆のお誘いのメールが来たりします.大抵はメールに書かれているテーマが微妙にずれていたり,メールの発信国が今一つ怪しい感じだったりするので無視しているのですが,本日受け取った論文執筆のメールはちょっと違いました.

まず「投稿しませんか」とされた書籍のタイトルが"Monsoons: Causes, Predictability and Climate Impact"と,かなり限定的かつ私がこれまでに投稿して登載された論文と関係のあるもので,ちょっと前に新しい論文が出たばかりということもあり,「これはもしかすると?」と思ったわけです.

「あなたがモンスーンの研究をしていることを知りましたので執筆しませんか」と書かれた後は投稿に関する長い説明がつらつらと続いていたわけですが,投稿も無料(カラーの図版は有料とのこと)らしいし,テーマもはっきりしているし,適当なメールではないのかなと思いました.

ただ,出版社がNova Science Publishersという聞いたことがないところでした.そもそもそんな出版社あるのだろうか.ということでAmazonで検索したら,結構出版物を出していることはわかりました.
次に,同じようなメールを受け取った人はいるか,Googleさんで検索したところ,日本語で一件だけ「こんなメールが来たんだけどどう?」という質問があって,それに対する回答が出ていました.ただ内容は詳しくなく,残念ながら参考になるというほどのものではありませんでした.

他には,色々な研究者の方の業績欄に出版社の名前が出ているのが検索でヒットしたくらいで,出版社情報はありませんでした.
日本語でないなら英語で探すか,ということで調べてみると「Publishing Archaeology」というブログでこの出版社のことが話題になっていました.アリゾナ州立大学のDr. Michael E. Smithさんが書かれたもので,結論は「(この執筆依頼の)メールは削除してしまえ!」ということでした(記事はこちら).
Dr. Smithもメールを受け取って,無視していたところ,今度は別のテーマでの執筆依頼が来て,そちらは全然関係ないテーマで,多分別のDr. Smithの研究だろうし,そんなことも調べず適当にメールを送ってくるようなところはやめておけということでした.

ブログには他の研究者の方からのコメントもあって,「査読がいい加減(投稿したまま受理された)」「編集もされなかった」とか,宜しくない経験が述べられていました.で,他にも良い論文誌や出版社があるのだから,そちらに向けて努力した方が良いということが言われていました.

ということで,はじめはちょっと期待したりしたわけですが,まだまだペーペーの私に知らんところからお誘いが来るということはあることではないか,と納得しメールは削除しました.
もちろん,こちらの出版社から立派な書籍を出版されている方もいると思いますし,あくまで私は見送ったというだけです.とはいえ,同じようなメールを受け取った日本人研究者の方の参考になればとは思います.
「地域大学サミット2010」というのが1月14日に開催されたそうで,その中での山形大学の結城学長による基調講演がサイエンスポータルに紹介されていました(記事はこちら).

運営費交付金が減額され,法人化に伴い経営権が大学に任され,経営実績や成果が厳しく評価されるようになった中で,どのように大学経営にはどのような方向性があるのか.内容は決して目新しいものではありませんが,裏を返せば今までも言われて来たことが実現されていないから,依然として同じことが言われるということかもしれません.結城学長も,学長や理事レベルの執行部の意識は変わったものの,一人一人の教員や職員レベルでは十分な意識改革がなされていないと述べています.

私が学生からスタッフのとして大学に関わるようになったのは法人化後だったので,働き方が変わったかどうかはわかりませんが,自分が学生だった頃と現在とで大きく変わったと感じることは今のところありません.「法人化してこう変わった」(望むらくは「こう『良くなった』」ですが)ということは,まだ言えないように思います.
法人化前から確固たるアイデンティティを持っていた大学はそれでも良いかもしれませんが,記事にあるように少子化,全入時代が現実のものになるかもしれないことを考えると,地方の大学は自由に経営できることを最大限に生かして特色と魅力を持っていく必要があるのかもしれません.

結城氏が学長を務める山形大学では学生が主役となる大学づくりと,教養教育の充実を基本方針として改革に取り組んでいるそうです.学生が学びたい学問を大学が提供するとともに,最低限の教養を備えた人物を育成するという明確な目標のもとに,カリキュラムを組んでいるとのことで,講義を担当する教員は大変だと思いますが,そうすることで大学の将来を切り開かねばならないと決意して取り組めば,「芯」のようなものができて,それを特色とした大学ができてくるのかもしれません.

私のような下っ端はなかなか具体案を挙げて改革を進めるということは難しいですが,それでも大学が地域の中でどうあるべきか,そのために何が必要かということを普段から考えておくことは決して無駄ではないと思います.普段から何となく気にしていることによって,改善のための努力が当たり前のことになると思いますし,結局はそれが少しずつ大学を良くし,成長につながるのではないかと思います.
日々の活動に追われて次々仕事をこなしていくばかりでなく,じっくり考えて取り組む姿勢も大切にしたいものです.

JAMSTEC東京事務所にて第5回CMIP5公開サーバ構築検討WG会合.
すでに何度か書いていますが,CMIP5とは次期温暖化実験のことで,現在日本ではそれにむけて3つの研究機関によるシミュレーションが実施されていますが,少しずつ計算結果が出始めています.それにあわせてデータ公開用サーバの準備も本格化してきました.

ということで,サーバ構築上の問題点や課題,データ公開時の手続きに関する議論など実運用に向けた報告や意見交換が進められました.
私はあくまで調整役ということで温暖化実験側とデータサーバ側の間に入って意見をやりとりしてきましたが,それぞれの担当者レベルでのやりとりがなされるようになってきたし,技術的に突っ込んだ議論に関しては担当の方におまかせという感じ.何もしなくても活動が進むようであれば,仲介の役目もひと段落というところでしょうか.
研究ではありませんが,研究の進展に貢献するという意味では,こうした仕事も研究者の大切な役割です.海外ではプロジェクトコーディネータという地位がきちんと認知され,それを専門にしている方もいるのですが,日本では研究もするしコーディネートもするということがほとんどです.決して望ましいシステムではないと思うので,これから変われば日本の研究システムも良くなるのではと思います.

次期温暖化実験はH22年度中に終了する予定なので,来年くらいからは温暖化の影響に関する新たな知見が得られるようになってくると思います.現行の温暖化実験結果(CMIP3)に比べてモデルの改善もなされていますし,高空間解像度(変数によっては時間解像度も改善)での実験がなされるので,より信頼性が高く詳しい情報が利用可能になります.
その成果を通して,地球環境についての関心が高まり,世界での温暖化対策に関する議論もより成熟したものとなればと思います.


会合は午前中で終わったので,今日は早く帰れるなぁと思っていたら,特急はくたかが途中駅で信号待ち.大雪のせいなら仕方ないと思っていたら,前を走る列車の車両故障とかで.
まぁすぐに終わるだろうと思っていたら,今度は除雪に時間がかかっているとかで,糸魚川に着いてから(この時点で金沢駅到着時刻を40分くらい超過)2時間待ちました.JRさんからはお水とカロリーメイトを頂きました.
結局金沢には4時間以上遅れて到着.東京駅を出てから8時間くらいかかりました.8時間あればハワイくらいにいけるんじゃないでしょうか.
さすがにちょっと疲れました.お天気はどうにもならないとは思いますが,がんばってください,JRさん.
 

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