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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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東京駅近くの三菱ビルにて,第3回シナリオイニシアティブ会議.

タイトルだけだと何のシナリオかわかりませんが,将来における地球温暖化の影響評価研究にあたって必要となる,将来の気候及び社会経済的状況についてのシナリオでありまして,今回は実際の影響評価研究の最近の話題に関する情報共有と議論のためのワークショップでした.私は,日本の研究機関による温暖化予測結果のアーカイブについての調整役として参加させて頂いており,データシステムへの要望の調査と,自身もちょっとばかり温暖化関連の研究に取り組んでいるということで,勉強のため参加しました.

最近の温暖化影響評価については,Shared Socio-economic Pathway(SSP)という社会経済シナリオを想定し,温暖化に伴う変化がそうした社会環境化においてどの程度の,どのようなリスク・影響となりえるかという評価を行う方向性にあるようです.
私はもっぱら変化のあるなしや程度について調べており,リスク評価というところまではできておりませんが,経済価値や安全,あるいは健康といった具体的かつ現実的な評価を行うためには社会環境の考慮なしには成し得ないということのようです.

とはいえ,このSSPというのは必ずしもコンセンサスが得られ,共有されているものというものではないようで,おおまかなコンセプトとして捉え,それに従って各影響評価研究者が独自の具体的なシナリオや政策オプションを設定し,評価を行うというものであると私は理解しました.
どれだけ可能性のあるオプションを準備し,現実的なシナリオを与えることができるかというところが難しそうですが,面白そうでもあります.ALPSというモデルでは社会全体を総合的に評価しているようで,多くの分野に関する知見がなければ難しいと思いますが,例えば河川管理や沿岸管理であれば考慮すべき点もある程度限られてくるので,がんばれば何かしらできるのかなと思います.

また,数十年後における技術レベルを考えた上での温暖化の影響を考える必要があろうというフロアからのコメントは,自分にとって新しいものでした.温暖化研究に限らず,10年後,20年後にどのような技術が実現されている可能性があるのかということを考えた上で研究に取り組むことも,新たな技術をすぐに役立てるには欠かせない視点なのだと思います.言われてみれば当たり前のことなのかもしれませんが,そうしたことに自分で思い当たるというのは案外むずかしいですし,そういういい実で他人の議論を聴くというのもやはり大切な勉強であると思いました.

自分が考えているようなことは,既に誰かも考えていることがあるわけで,そうしたことを知る良い機会でしたし,逆に取り組んでいないことというのもわかりました.もちろん取り組んでいないには理由があるわけですが,少なくとも後追いにはならないのかなと.
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