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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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一昨日のことだったかと思いますが,JR東日本で不正な取水が行われていたことがニュースになっていましたね.社会的にどれほどインパクトのある事件だったのかわかりませんが,一応河川に関係する分野で仕事をしているので,ちょっと気になりました.

普段は河川を流れる水は自然の一部と考えているのが普通だと思いますが,今回のようなことが資源としての水は無料ではないということを認識する良い機会になるかもしれません.しかし,先日のニュース以来マスコミでは関連した話題提供などないようなので,その意識が芽生える前に今回の事件も風化してしまうのでしょうね.蛇口をひねれば(ほとんど)いつでもきれいな水が得られる環境にある日本人は,水は貴重な資源であるという認識が低いといわれますが,その意識もいずれ変わるとよいかと思います.

今回の場合は発電所で発電が行われた後に水は河川に戻されるので,何がそんなに問題なんだ,と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが,取水口と排水口は同じ時点ではないので,その間河川では水が少なくなる部分があります(減水区間).河川には,環境を維持するのに最低限必要な流量というのが定められているので,取水による減衰も環境への影響がある場合もあります.今回の水利権取り消しで信濃川に元の流れが戻ったとの喜びの声もあるそうです(参考記事はこちら).

ただし,減水による河川への影響がどの程度あるかという定量的な評価は定まっていないというのが現状だと思います.維持流量はもっと必要かもしれませんし,それほど必要ではないかもしれません.この点は今後も研究が必要なところだと思います.

河川工学は他の工学分野に比べて,空間的普遍性が低い工学といえます.電機や機械といったものはどの場所で使用するものでも大差はないものも多いと思います(たとえば携帯電話など)が,河川にはひとつひとつ個性があり,その場所場所での対応が必要なので,ひとつの手法や考え方が他の河川に適用できるかとは限りません.そうした意味でも,河川研究は今後も必要でしょう.もしかしたら圧倒的な文明の力によってどの河川も支配するという価値観が将来生まれることもあるかもしれませんが,環境との共生という考え方にシフトしようとしている現在は,そうした方向に進むことはないと思います.

ところで今回の不正な取水はなぜ明らかになったのでしょうね.本来の川の姿を願う市民の人たちが調査とかしていたのでしょうか.それとも内部告発とかかな.まぁその辺はさほど問題ではないですね.
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