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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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気象の研究をしていると,地図上にデータをプロットするということが良くあります.本日はデータのプロットではないのですが地図を作った方が良いかな,と思うことがあり,GMTを使うことにしました.

GMTはハワイ大学で開発されたツールでThe Generic Mapping Toolsの略です.私はほとんどの場合データのプロットはGrADSというツールを使うのですが,地図の作成に関してGMTの方がきれいなので,場合によってはそちらを使います.

ところが金沢大学に来てからGMTを使う機会がなかったためにまだインストールされていなかったので,インストール作業から開始.前の環境でのインストールメモもあるし,すぐ終わるはず.

でしたが,何やらエラーが出まくって結構てこずりました.同じようなことで困っている人はいるだろうとGoogleで検索したものの,皆さんWindows版のGMTをインストールしているようで,Windows+Cygwinでコンパイルする情報はほとんど見当たりませんでした.

でもまぁ何とか無事インストールでき,テストもすべてパスしました.私の環境でですが,どのような手順で進めたかメモ.ちなみにNetCDFも同時にインストールする方法です.

(1) ハワイ大学FTPサイト(ftp://ftp.soest.hawaii.edu/gmt)からinstall_gmtをゲット.

(2) Cygwinにて /usr/local/ に上記ファイルを保存し

   $ sh install_gmt

を実行.

 勝負はここからです.ややトリッキーです. 上記コマンドを実行すると色々と設定が聞かれるので答えますが,まずはNetCDFが無事インストールできればOKです.その後GMTのインストールは失敗すると思います(うまくいった方,おめでとうございます).

GMTのインストールに失敗する原因は,私の場合は
・コンパイラがNetCDFライブラリの名前を認識しなかった
・Shewchuk's Triangulation Routine のオプションをYesにした
というのが主たるものでした.あと,様々なSupplementoをインストールするか?と聞かれますが,これはNoにした方が無事インストールされます(たぶん).
ということで,

(3) NetCDFのライブラリ libnetcdf.lib に対して libnetcdf.a というシンボリックリンクを作る.

(4) 再度 (2) を実行し,Shewchuk's Triangulation Routine をNoにする.

これで無事インストールできるはずです(もしうまくいかなかったらすいません).


で,地図の方ですが結局インストールの合間にGrADSで作りました(泣)
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たまには研究のネタを.

昨年から,WRFという気象モデルを使って昨年日本で起きたある豪雨を再現しようと試みているのですが,なかなかうまくいきません.同じ日に別の地域で起こった豪雨に関しては,似たような現象がみられるのですが.

色々とセッティングを変えたりしても,近いものすら出てきません.
そもそも物理過程の問題ではなく,初期値や境界条件が適切でないのかということで,土地利用を確認してみたところ,現状よりも農地などが多いような.とはいえさほど広範囲に渡っているようでもなく,そちらは置いておくことにしました.

次は初期値など.WRFで使いやすいということで,今まではNCEP FNLという米国の機関から公開されているデータを使っていましたが,気象庁から公開されているJRA25というデータ(現在はJCDAS)と比較したところ,豪雨の生じた地域の周辺海洋上の大気の状態に差がみられました.

JRA25/JCDASはアジア域における水蒸気量などは他のモデルより精度よく推定されるとのことなので,こちらの方が再現性が高まるかもしれません.ということで,JCDASを初期値・境界条件として使用することに.
WRFではデフォルトでJRA25/JCDASを取り込むことはできないので,Googleにて同じようなことをしている人を探して,そちらを参考にしました.

今回の方法ではJCDASを基本データにしつつ,不足分はNCEP FNLで補うというもので,地表面や土壌に関するデータはすべてNCEP FNLからもってきています.陸面での計算が不安定になってしまわないかと心配でしたが,計算を初めて80分(モデル内では約6時間経過)の時点ではエラーなど出ていません.

とりあえず計算結果をみて,どんな感じか確認したいと思いますが,ひとつ気になるのはJCDASとNCEP FNLを比較した時に,JCDASの方が豪雨周辺の海面温度が低いということです.MTSATなどで雲画像をみると,ちょうど海面温度が低いあたりに雲が発達していて,JCDASではこの影響が正しく出ているものと考えられます.この海面温度分布が効いているとなると,今回のセッティングではうまくいきません.たぶん.
そうなったら,今度は海面温度などもJCDASのものを使うように工夫してみます(あっさりできるかどうかわかりませんが).それでもうまくいかなかったらどうしようかな.
一週間ほど前に事務から転送されていたメールをいまさらながらに確認しました(急ぎでなく,読んでおこうかなというメールは往々にしてこうなります).

メールのタイトルは「研究開発システムの改革の推進等による…」という長いもので,研究環境の改善につながるものか?と期待があったので仕分けずにおきました.添付資料によると,研究開発の推進に関する法律(とても長い名称ですが,「研究開発力強化法」と略されるようです)が昨年交付・施行され,各大学でもその法律に沿って方針などを定めなさいということでした.

とはいっても具体的に何をどうするのかということですが,示された基準に即して人材強化を図りなさいということらしいです.いくつか要約して示しますと

・若年者(概ね37歳以下),女性,外国人研究者の割合を向上させましょう
・若年研究者の自立と活躍の機会を与える仕組みを導入しましょう
・出産・育児を考慮した業績評価などを取り入れましょう
・卓越した研究者の給与に関して優遇措置を講ずるなどしましょう
・能力及び実績に応じた処遇と,優れた研究開発者等に公正な評価を行いましょう

などなどです.これによって,各研究者のやる気を起こさせて,国際的な競争力強化につなげようというのが目的のようです.何年か前に発光ダイオードの開発に取り組んだ研究者の方が,実績が正しく評価されていないとかで訴訟をしていましたが,その後も日本においては研究者がその能力に応じて評価されるようになったとは必ずしも言えないように思います.

上には示しませんでしたが,人材活用の基準の中には任期制の適用範囲の拡大なども含まれています.能力主義や任期制の導入は,研究者にHard Workを強いるので,競争力の向上や成果の蓄積につながることが期待されますが,現在の日本の研究環境はそれを可能にするものかどうかは疑問です.特に大学においては,教官は研究だけでなく講義や学内の雑務を行う必要もあり,研究に集中できるのはわずかな時間です.
そのために,上記基準では事務スタッフの充実や休暇制度の導入で研究に集中できる環境を整備するなども示されていますが,これらが一度に示されるのではなく,ある部分を整備できたら次のステップへ,という形で進めないと結局うまくいかないのではないかとも思います.

本法律は文部科学省で立案されているのだと思いますが,文科省の官僚の中に大学や研究機関で研究活動に取り組んだ経験のある方がどのくらい含まれているのか,という点も大事だと思います.おそらく専門家や第三者の意見を訊いてはいると思いますが,人の話を聞くだけでなく,身をもって感じないと何かに取り組むというのは難しいと思います.では研究者が文科省に転職するか,というとそれも甚だ疑問ですが,少なくとも修士や博士課程を経験した方が入省すれば,より大学や研究機関の実情を理解し,適切な策を講じてくれるのではないかと思います.
EOG
ワークステーションで描画した画像を見るのに,いちいちFTPとかでローカルのPCにコピーするというのはめんどうですよねぇ.前はkviewというのを使っていたのですが,今日つかっていたら,複数の画像が一度に開けず(というか「次の画像を表示」的な機能が見当たらず),どうしたものかと悶々としていました.

で,例の如くGoogleで調べたらEOG(Eye of GNOME)というコマンドがあるらしいではないですか.私の環境にもインストールされているかと実行してみると,見事に起動しました.しかもメイン画面とサムネイルが一度に表示されて,簡単に画像切り替えができるではないですか.
70個くらいのファイルを開いたところ,いくつか読み込みに失敗していましたが,とりあえず見るには十分です.素晴らしい.

こういった機能は知っていて当然なんでしょうか?
Linuxのコマンドはたくさんありますが,使ったことのないものが大半だと思います.全部使えるようになったら,かなり色々なことができるんでしょうねぇ.
タイトルをみても何のこっちゃという方が多いと思いますが,気象モデルで積雲活動を取り扱うための手法のことです.パラメタリゼーションというのは,本来は細かな点まで考慮すべきところを大雑把に取り扱うための方法,といったところです.

現在,WRFという数値気象モデルを用いて結構高い空間解像度でのシミュレーションをしていて,高解像度の場合には積雲活動はパラメタリゼーションを用いず,きちんとした物理過程を解くように設定するのですが,何度やっても出力がおかしいようで.積雲による降水が無しという結果なのです.

色々設定を変えたり,資料を読んだり,Webで調べたりして,なかなかわからなかったのですが,マニュアルとは別の資料をみたところ,どうやらパラメタリゼーションを用いない場合には,「積雲による降水」としては出力されないということがわかりました.
おかしいと思っていたのに,おかしくなかったのか.はぁ.
意外と常識なのかな.恥ずかしい.

ちょっとがっくりきましたが,問題は解決したので,良しとします.
この問題を解決するために色々変えた設定を,再度最適な(と思われる)ものに設定しなおして,数値実験再開です.

研究(特にプログラミングなど)をしていると,ずっと解決できないことが実はあまりにも単純なミスが原因だったりすることもあって,時間の浪費などを思うと自己嫌悪に陥ったりしますが,めげずにがんばりましょう.
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