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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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とりあえず動きそうな目途のついたWRFによるダウンスケーリングですが,2000年7月を対象に一か月間のシミュレーションを実施しました.計算時間は4つのコアを使って17時間です.

とりあえず7月の平均日雨量を検証したところ,パッと見はアジア域全体でも日本全域でも関東地方でもまぁまぁといった感じでした.ちょっとよく見てみると,フィリピン周辺,九州から沖縄にかけての領域,本州沿岸で降水が目立って過小評価でした.

いずれも海洋上なので,海面水温の影響かもしれません.現在はNOAA Interpolated weekly SSTを与えているのですが,もっと時間解像度の高いデータを与えた方が良いのかも.ということで,ちょっと海面水温に別のデータを与えてみようと思います.

あまり時間がなかったので降水しか確認しておらず,循環場に違いがあって,収束場が形成されていないとかあるかもしれないので,そちらの検証もしないといけないのですが.
いずれにせよ,検証の価値がありそうな結果が出たのでまぁ良しです.
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粛々とWRFを使ったダウンスケーリング手法の検討を進めておりますが,今日はハマりました.ほぼ一日悩むことになりましたが,結局は解決しました.

これまで60km→30km→6kmと3重のネスティングでダウンスケーリングを行っていましたが,WRFでのネスティングでは親領域と子領域の比が奇数としなければいけないのをすっかり忘れていまして,90km→30km→6kmと設定し直して実験したところ,子領域での降水が異常に小さくなってしまいまいた.
単に解像度を変更しただけでなぜ?しかも一番外側の領域はこれまでと似たような降水分布なのに.

ということで,ここから試行錯誤がはじまりまして.
原因は海面水温が0になってしまうことだとわかりましたが,なぜそうなっているのかがわからず,入力データの取り扱いを変えたりなんだりやったものの一向に解決されませんでした.
で,最終的にわかったのが,海面水温を更新する設定の際に子領域にデータを与えると事の設定が間違っておりまして.
海面水温の更新はwrflowinp_d01というファイルを読んで行われるのですが,お尻のd01は親領域で,子領域ではd02,d03となります.が,設定ファイルでは3領域分を指定できませんで.まぁうまくいっていたから放っておいたのですが,実際はwrflowinp_d<domain>と指定すれば全ての領域でデータが読まれます.
そんなことはユーザーにとっては当たり前なのかしら.恥ずかしい.

なんにせよやっとこ解決したので,現在計算中です.
それにしても,最初のケースではなぜうまくいってたんですかね.
たまたまうまくいっていただけかもしれません.バグかな.
そのままにしておいたら,嘘の計算結果になっていたと思うので,まぁ一安心.

JRA25+NCEP FNLで作成した初期値・境界条件でWRFを動かすことには成功したものの,再現性という意味ではさっぱりでして.
とりあえず雲微物理と積雲対流スキームを様々に組み合わせて一か月分のRunを繰り返しては確認し,ということをしてみたものの,海洋上の降水が全然発生しないわけです.

海面水温の与え方か?と確認したところ,初期値のままで更新されず,比較的長期のランにも関わらず更新されないのはいかんだろう,と更新されるようにしたものの,今度は海洋上の降水が異常に過大評価となりまして.「???」という感じで詳しくみたところ,もともと初期値作成の際に使っているJRA25の海面水温(wtmpsfc)がどうやらおかしいようで.日周変化が非常に大きく,毎日12UTCには太平洋の海面水温が320Kを超えるような感じでして.明らかにおかしいと思いますが,これは気象庁の方とかご存知なのかしら.もし既知のことであれば,JRA25のウェブサイトに注意書きとか欲しいところです.

JRA25では海面水温を計算していないので,入力データだろうと高をくくっていたのが裏目に出ました.よくわかりませんが,謎の値が入っているようです.放射や気温などから推定しているのかな?詳しくみていませんが,最初に与えていた海面水温ももしかすると過小評価で,そのせいで対流が立たなかったりしたのかも.

ということで,海面水温は他のデータを用いなければなりません.データを取得して,処理スクリプトの作り直しっす.
昨年から取り組んでいる温暖化実験結果のWRFによる力学的ダウンスケーリングですが,色々と考えるところがあって,まずはJRA25を用いての現在気候のダウンスケーリングから行うことに.
WRFはNCEP FNLを初期値・境界条件に使えば比較的容易に動くのですが,対象がアジア域なので,ちょっとでも良さそうなJRA25を使います.前に試しにJRA25でWRFを走らせたのですが,今回は諸々の制約条件でデータの前処理を別の方法で行わねばなりません.

これまでの温暖化実験データでWRFを走らせた経験が大いに役立ちましたが,なかなか一筋縄ではいかず.今回は土壌水分と土壌温度の予測も行う必要があり,WRFで使えるモデルを動かすためにはJRA25による陸面データではダメで,NCEP FNLの陸面データとマージさせます.あんまり考えなければ,他の方が解説されているようなWRF標準のWPSを用いる方法で動かせるのですが,後で温暖化実験データも組み合わせる予定で,その段階ではお手製の処理が必要で,各種ツールや自前のプログラムで処理.

ちょっとずつデータを作っていって,入力データ作成の最終段階でどうもうまくいきませんで.それはもう色々と試してみましたが,なかなかダメで.
他にも取り組んでいることがあるので,明日以降にしようかなぁと思ったりしましたが,しつこく確認していたら,ようやくミスを発見.プログラム中の二重ループで使っている変数が逆だったんですねー.あまりにも初歩的なミスでしたが,まぁ解決したので良しです.もしかするとややこしいデータ処理をしなくてはいけないかなぁと思っていたのに比べればなんてことはありません.

ということでWRF+JRA25+NCEP FNLでのダウンスケーリングもとりあえず動きました.けっこうマニアックなWRFの使い方もできる感じになってきました.まだ結果の確認はしていないので,計算結果が妥当かどうかわかりませんが,それは明日に.きちんと動いていれば良いんだけど.
卒論が終わったら研究ができると思っていたのですが,学会や,その後の海外出張でなかなかそうもいかず,ちょっと時間が出来て勉強し始めたら3月も終わりに近づこうとして,ようやく研究作業を始めました.もうすぐ新学期が始まって演習や実験の準備も始まるというのに.なんとかやりくりせないかんですな.

研究というと何か没頭するイメージがあるかもしれませんが,私の場合テーマは複数あって,それぞれの段階も異なるので,相変わらずのマルチタスクで進めることになるわけですが.

ひとつめは一昨年チベット高原で実施した現地観測でのデータを用いた解析結果についての論文執筆.昨年の学会でちょっと話をしているので,その方向で内容をちょっと詳しくする感じでまとめる予定です.

ふたつめは温暖化実験結果のダウンスケーリングについて.卒論生が進めてくれたので,それをさらにブラッシュアップする感じで.まずは使用するデータの再確認などが必要なわけですが,イメージはあるので,ある程度のところまでは作業をガガッと進めたいです.
あと,温暖化実験結果は膨大なデータ量で,金沢大学にそれを持ってくるのも大変なので,データがアーカイブされている東大のサーバでダウンスケーリング計算もできないものかと試してみたのですが,AIXというあまりなじみのない環境のため,まずはそちらの設定から.とりあえずWRFをコンパイルしようとしたもののうまくいかず.一筋縄ではいかないかも.

みっつめは衛星データ同化に関して,新しい手法を適用するための設計.これまで勉強したことをまずフローチャート的にまとめているので,具体性はまったくありませんが,とにかくコンポーネントを細かに落とし込むところからやってみようかと.知識を得ることと,そこから何かを実現することには往々にしてギャップがあるわけで,これからいくつもの壁にぶち当たると思いますが,ちびちび解決しながら進めたいと思います.
今のところこの研究が一番面白いと思っているので,ちゃーっと進むと嬉しいんですけどねぇ.

他にもやりたいことがあって,とはいえ思ったほどの時間はないわけで,どうしたものかと思ったりするわけですが,「集中力」を意識すれば短時間で進められるのではないかと今更ながら思いました.
はっきりいって「超初歩的」なことですよね.そんなことも考えずに仕事をしていたのかと叱られそうです.どちらかというと気が多い方なので,集中するのは得意な方ではないのですが,多分それも意識と訓練でどうにかなるのではないかと思うわけです.
マルチタスクで集中力ってなんじゃ?という気もしますが,まぁ小学生が一日に国語・算数・理科・社会を,それぞれの時間ごとに集中して勉強していると考えれば問題ないでしょう.

ということで,とりあえず「集中力」をテーマにがんばりたいと思います.これを機に一生ものの集中力が養えれば,なんて思ったりもします.
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