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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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先日,サイエンスポータルにて公開された東京大学先端科学研究センター教授の西成活裕氏のインタビュー記事を紹介しましたが,本日はその第2弾.記事はこちら
現在,渋滞に関する研究が様々なところでとりあげられている西成氏ですが,「渋滞学」を確立するまでには苦労があったということが今回の記事の内容です.

が,苦労はどんな人にもつきものだと思いますんで,それはさておき,そもそも渋滞を研究テーマにしたのは何故かという問いに対する「みんなが取り組んでいない=思考停止状態だからチャンスがある」という答えには,なるほどと思いました.
確かに難しそうなことはついつい敬遠しがちですが,それは他の人も同じと考えれば,がんばって取り組めばそこで独自性が出ますからねぇ.成果が期待される現実的な研究を進めることも欠かせませんが,周囲から「それは無理」と思われるようなことにも思い切って取り組むことも必要なんですよね.

難しい課題に取り組む以上,すぐに成果は期待できないことが予想されますが,西成氏の場合も10年くらい大変だったそうです.それでも信じて取り組み続け,展開に至ったとのこと.

ということで,難しいことにあえて取り組む勇気と,それを続ける覚悟を研究者として持ち合わせたいと思いました.
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小惑星探査機「はやぶさ」については,様々なメディアでとりあげられているので,いまさら感がぬぐえませんが,プロジェクトチームの責任者・川口淳一郎教授(JAXA)のインタビュー記事がMSN産経ニュースで公開されていたので,それに関して(記事はこちら).

内容は読んで頂くのが一番なので詳しくは触れませんが,ひとつめに目にとまったのは,はやぶさのカプセルをすぐに公開したのは何故かという質問に対して,「皆さんがスポンサーなんです」という答え.国から多大な補助金を受けて実施するプロジェクトである以上,成果は国民に還元しなければならないということが自然と身についているように感じました.私費を投じているなら別ですが,国費を受けて研究に取り組んでいる者としては,当然のことながら見習うべきことだと改めて思いました.

それとあわせて,専門分野にいる研究者の視野の狭さについても触れています.研究者としてうまくできたとしても,世間の評価は厳しかったり,逆に意外なほど寛大であると.自らの及ばない観点で見て頂くことが多い,と言及するにとどまっていますが,ご自身はそうした声を聞き,受け入れることの必要性を感じているということだと思います.自らの取り組む研究開発の意味を考える上で大切なことですが,それだけでなく,時としてそれが研究のアイディアにつながることもあるでしょうし,やはり広い視野は常に持ち合わせていたいと思います.

次は,成功の理由はという問いに対する「意地と忍耐」という言葉.研究は確かにうまくいかないことも多々ありますし,いかに粘るかが大事なところもあります.川口教授に比べれば,屁みたいな研究者ですが,日々悩みながら取り組んでいる身としては,大きな成果を挙げた人も決してスマートなだけではないと思えば,勇気づけられる言葉です.

これも様々なメディアで紹介されていますが,今回は称賛浴びる成果を挙げた川口教授も,苦労や失敗を経験されています.私の知る優秀な先輩方も,聞けば様々な苦労を経験されていることが多々あります.我々からみれば次々成果を出している研究者も,決して順風満帆なだけではないと知ることは,これまた勇気づけられますし,また,失敗したとしてもそれで終わりではなく,次があると信じることで,また気力が湧いてきます.

幸いなことに,まださほど責任ある立場にない私としては大きな苦難を経験していませんが,これからどんな困難が待ち受けているかわかりません.人生山あり谷ありですから,大なり小なり大変な状況を経験することになるのだろうと思います.そんなときも,多くの先輩が困難を乗り越えたことを思い出し,立ち向かっていけるようになりたいと思います.
サイエンスポータルにて,物質・材料研究機構理事長の潮田氏の提言がちょっと前から公開中(こちら).

記事の内容は,人材育成において専門的な知識だけでなく広い教養を身につけさせることが不可欠だというもの.(たぶん)その流れで,時代のニーズを把握し,それにあった研究課題を見つけ,取り組んで行く必要があると締めています.
自分の専門や関心のあるところだけに目を向けるのではなく,他分野や社会の動向をみることができる能力をもつことが重要ということが述べたいのだと思いますが,文章としてはやや色んなところに飛んでしまっている感じ.

文章構成はさておき,その中で,「学者もトレードして初めて価値が決まる」と書かれていました.ひとつの機関や大学に長く定着していては良い仕事ができないかもしれないし,また動くことによって価値が改めてわかるとのことです.

私も出身大学に数年勤め,金沢に来てもうすぐ2年になり,良い仕事かどうかわかりませんが,様々な環境の変化によって新しいことに取り組む機会は間違いなく増えたと思います.こうした新しい取り組みを始める機会もずっと同じところにいてはできなかっただろうし,それが良い成果につながれば,やはり動いて良かったと思えるのではないかと思います.

一方で,新しい環境での研究活動の立ち上げには,相応の労力がかかることも実感しています.今までは既に出来上がった環境の中でスムーズにできていたことが,なかなかそう簡単にはいきません.そうした中で,研究環境を整え,依然と遜色のない,あるいはそれ以上の成果が出せるかどうかが試されていると言えるかもしれません.与えられた環境で研究を行うだけでなく,自ら環境を作り出す力があるか,その価値が問われていると言えるかと思います.

まだ2年か,もう2年か.いずれにせよ,「金沢で成長した」といわれるようがんばります.

WRFを用いて行っているダウンスケーリングを,より高機能な計算機環境で実行しようということで,AIXをOSとする計算機で並列計算を含めたWRFのコンパイルに取り組んでいるのですが,これがなかなかうまくいきませんで.

並列計算しない場合にはうまくいったのですが,まず並列計算に必要な環境が導入されておらず,それを色々と悩みながら取り組んだものの結局ダメで,最終的には計算機の管理者の方にお願いしてMPICH2をインストールして頂きました.

これでいけるだろう,と思っていたものの,次から次へのWarningやらエラーやらで,少しずつ設定を変えながら進めております.先週末から始めて,ぼちぼち一週間が経とうとしていますが,果たしてうまくいくかどうかは微妙なところ.色々な条件から絶対に成功させないと後々大変なのは目に見えているので,本来進めなければいけない仕事にも手をつけないでいるんですけど.

色んなキーワードでウェブを探ったりもしていますが,ずばりという解決方法は見つからず,一応参考にしている情報も,本当にその解決方法で良いのかわからない状態.誰か教えてくれないかしら.
世界の研究論文に占める日本の割合が減少傾向にあるとのこと。サイエンスポータルより。

割 合として減少しているとのことですが、絶対数としても減っているんでしょうか。記事の中では中国の成果が占める割合が高くなってきているとのことですが、 確かに国際学会にいくと中国出身の方々が多いなと感じますし、その一方で日本人は少ないようで寂しく感じます。まぁ総人口が違いますから、色々な面で日本 に並び、追い越そうとしていることを考えれば止むを得ないような気がしないでもないですが。

記事の中ではそのような分析はされておらず、 日本の研究コミュニティが元気がないといった論調のように感じます。まぁ人口が多いとはいえ、高等教育は日本の方が浸透しているようにも思いますし、やは りまだ日本の研究力が高くて然るべきという見方が一般的なのかもしれません。

記事の中では日本の研究業績が低迷していることの原因に国際 的な共同研究体制が不十分なことが挙げられていましたが、これは必ずしも当たっていないように思います。それ以前に研究をまとめる体制が未熟というのがあ るのではないかと思います。(上記意見は外国の方によるもののようなので、日本の研究者を取り巻く環境が理解されているかどうか疑問です)。

私 は欧米での研究経験がないので聞いたことにすぎませんが、欧米では研究者がアイディアを練り、技術スタッフがその支援をしながら研究をするという体制がで きており、効率的に成果を出すことができるそうです。日本では(少なくとも大学では)研究者は研究計画を立てるところから、研究環境の整備、実験等の作 業、それに加えて諸々の事務仕事など、なかなか大変です。

だから日本の業績が低迷して良いわけではないと思いますし、研究コミュニティにいるものとしては他人事ではありませんから。こうした事実を目にした以上、発奮せねばいけませんな。
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