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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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100年後の日本の気候についての研究成果を東大等のグループが発表するとの話題.MSN産経ニュースより.

東京大学大気海洋研究所の高薮縁教授らの研究グループが、世界の気象関係機関が開発したコンピューターシミュレーション「気候モデル」を用いて、地球温暖化に伴う日本の気象現象について将来予測をまとめた。それによると、100年後には梅雨が長引き、春と夏の間に季節として「雨期」ができたり、台風の日本上陸数が減少するといった大胆な予測となっている。14日に東大安田講堂(東京都文京区本郷)で開かれる環境省主催のシンポジウムで発表される。(MSN産経ニュースより)

記事では梅雨明けが遅れることや台風の上陸数減少のメカニズムも紹介されており,「7月の降水量は減らない」と書いてあるあたり,100年後の気候なのに言い切ったなぁという感じがします.記事中の「大胆な予測」というのも,その感じを言い表しているのではないかと思います.

それだけ自信のある研究成果ということだと思います.私も数値モデルを使って温暖化の影響を調べたりしていますが,言い切る自信はありません.「あいまいなことを言って,無責任じゃないか」と言われるかもしれませんが,諸々の可能性を考えると「絶対」と思わせるようなことは言えないのが本音です.いつか「絶対」と言っても良い成果が出せればと思いますが.

でも,「想定外」という言葉が使われるほど自然は人智を超えている部分がありますから.おごることなく研究し向き合うしかないような気もします.
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もう一週間ほど前のことですが,サイエンスポータルにて「シンポジウムのやり方にもイノベーションが」という記事が掲載されました.

要はインターネットによる動画配信を活用することで予算や人手をかけずに多くの人にシンポジウムの内容を知ってもらうことができるということです.また,様々な人の目に触れることによってシンポジウムの評価も主催者側に都合の良い解釈となるのではなく,客観的になされるのではないかということが述べられています.

いつ頃のことだったか忘れましたが,私も友人と「学会もそのうち動画配信されたりするんじゃないの」といった話をしていたことを思い出しましたが,昨今のインターネット中継の発展はそうした可能性の高まりを感じさせるように思います.

ちょっと前に来ていたある研究会の案内ではustreamによるライブ中継のお知らせもあったりして,本当に身近なところまで来ています(ただ,残念ながらこの研究会の模様は諸事情により配信されなかったそうです).

研究に関する議論を行うには同じ場にいるべきだと思いますが,場合によっては会場に行けない場合もありますし,その場合にはせめて発表と議論を聴くだけでも,という要望には応えられるように思います.また,学生さんは遠方の学会などには旅費などの関係で参加できないこともあると思いますし,そうした人達にとっても研究者の発表や議論を聴くことは有益だと思います.

そうした学会等の発表を完全にオープンにして良いのか,あるいは会員に限定するのか,ウェブによる学会参加費のようなものを収めた人に限るのか,といったことは議論する必要があるかと思いますが,いずれにせよ様々な形の研究会などが増えていくことになるのではないかと思います.
災害観測のための地球観測衛星の打ち上げが加速されたとのニュース.YomiuriOnlineにて.

政府は29日、災害観測用の小型衛星1基を2012年末にも打ち上げる方針を固めた。

 経済産業省が12年度予算の概算要求に37億円を要求する。東日本大震災の被災地の画像を撮影していた地球観測衛星「だいち」が4月に故障したため、政府は当初、12年度中の完成を目指していた小型衛星の開発と打ち上げを前倒しし、災害監視に投入することにした。(YomiuriOnlineより) 

記事によれば従来の衛星に比べて小規模ながら高精度な観測が可能となるとのこと.科学の進歩を感じさせる話題ではないかと思います,

一方で,「だいち」については災害の予知・予測というよりは現状把握が得意なセンサーなように理解しているので,後継機についてもそうした活用のされ方が主要なものになるのではないかという気がしています.もちろん,予知・予測に活用するための研究も進められていることと思いますが,やはり災害については事後対応よりも事前対応による防災・減災が期待されるところだと思いますし,打ち上げだけでなく,その活用に関しても技術開発が進むような国の支援を期待したいと思います.

と同時に,「だいち」だけでなく他の地球観測衛星についても十分に災害対策としての活用がなされているとは言えない現状もあります.すでにそうした分野に取り組んでいる研究者も努力する一方で,そうした現状をより広く知ってもらい,「それなら取り組んでみたい」と思う若い方々が増えてくれると,衛星観測の一層の実用化が進むと思うので,関心を持って頂ければと思います.
日本学術会議・エネルギー政策の選択肢分科会による「エネルギー政策の選択肢にかかわる調査報告書」に関する話題.サイエンスポータルにて(こちら).

報告書は79頁に上るもので,様々な発電技術とその内容まで有る程度くわしく説明されています.記事では,報告書にまとめられている6つの将来のエネルギーシナリオの概要とその際に負担すことになるコストが簡単に紹介されていますが,あくまでざっくりしたものなので,興味がある人にとっては報告書を読む方がしっかり理解できて良いのではないかと思います(ページ数は多いですが,わかりやすい感じでした).

報告書では国民が意思決定すべきとしているようですが,どうやったら国民がエネルギーシナリオを選択できるのでしょうか.国民投票を実施するということでしょうか.日本でどのように国民投票が実現されるのかよくわかりませんが,そうでもしない限り,政府や産業界などによって決められることになるのではないかと思います.それが最善の選択ではないとは言いませんが,国民に問うということにはならないのでしょう.

誰かが何となく最善の方法を選んでくれるだろうと思って人任せにして,うまくいかなかったら批判をするというのがこれまでの日本の姿だったように思いますが,これからはそうしないようにするのであれば,制度と,そして一人一人の心の持ちようが変わる必要があるのではないかと思います.
「原発災害をめぐる科学者の社会的責任-科学と科学を超えるもの-」というシンポジウムに関するサイエンスポータルの記事(こちら).

日本学術会議哲学委員会主催とのことですが,パネリストには理系の研究者も含まれているようでした.様々な分野の方が集まったということで,意見も様々なようですが,避難区域や食品中の放射性物質の暫定基準設定のよりどころとされている国際放射線防護委員会(ICRP)の基準自体には複数の方が疑問を持たれているとのこと.

記事の中ではICRPの基準をもとにした勧告の妥当性について言及した日本学術会議会長と,それを痛烈に批判する日本学術会議議員の話題に触れ,科学者間において「合意した声」を出すことが求められるものの,その難しさを述べていました.

原発に限らず,様々な問題において異なる立場の人々の意見をまとめるというのは難しいと思います.明確な科学的根拠に基づき,解がひとつに集約される問題ならば良いですが,現実社会の問題は往々にしてそうなりません.それらは科学的に理解が十分でない場合と,自然科学ではなく人間の価値観に依存するような場合,あるいは両者が関係する場合にわけられそうです.

いずれにせよ何らかの決断をする必要がある場合,科学的に理解が十分でない場合にはどうするべきなのか.そうしたケースにも科学者の意見が求められると思いますが,理解が十分でないことについて合理的な合意された解を出すことは不可能です.原発の問題とはそういうことなのかなと思います.

このように,未知のことについて(というか,未知のことだからこそ,かもしれませんが)何らかの意見を求められるという場面が科学者にはあるでしょう.そうした時に,どうしたら良いのか.もちろん問題ごとに取るべき態度や回答は異なりますが,何かしらの基準のようなものは持つべきなのかもしれません.
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