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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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5月30日に駐日英国大使館・政策研究大学院大学共催のシンポジウム「緊急事態における科学者の情報受発信 ~フクシマからの教訓~」というのが開催されたそうで,そこで英国主席科学顧問のジョン・ベディントン卿が基調講演をされたという話題がサイエンスポータルに掲載されていました.

記事ではシンポジウムでの講演内容が紹介されているわけではなく,卿が事故発生直後に得た情報をもとに駐日英国大使と交わした会話での適切な判断に関して注目しています.同じ頃,当事国である日本で適切な情報提供や,事実に基づく説明などがなされていたかというと,必ずしもそうではないと.国の科学界を代表する人物を国家機関に助言する立場に置くような仕組みが必要ではないかということが論旨のようです.

ただ,日本でも多くの専門家がテレビに出演し様々なコメントを発していたと思います.そうした方々の解説やコメントと英国主席科学顧問の判断のどちらが正しいといえるのか,正直わかりません.また,万一英国で同様の事故が起きた時に主席科学顧問のコメントは絶対的に正しいことなのかもわかりません.そうした意味で,主席科学顧問が与えられた情報から適切に情報判断でき,最善の助言を必ずできるかわかりませんし,非常に高い有用性があるとは言えないのではないかとも思います.

とはいえ,現在の日本では科学者の意見や助言が重用されないというのは,その通りかもしれません.そこには,「意見は科学者が言っても,責任を取るのは行政」という形ができてしまっているのも一つの原因ではないかと思います.何かが起きた時に,それに関連する発言をした科学者が責任をどう取ることができるのかはわかりませんが,少なくとも自分の発言には結果を大きく変える可能性があるということを科学者が自覚すれば,好き勝手な意見を言いっぱなしにするということは減るように思いますし,そのように考える科学者を確かな判断が求められる機関の顧問とすることにはある程度の有用性があると思います.

3月以降,科学者・研究者に何ができるのかという話題も多くなりましたが,主席科学顧問のような存在もその中でしっかりと議論されるべきことは間違いないと思います.
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東日本大震災を受けて,科学者が,科学コミュニティが社会とどのように関わり,貢献していくべきかに関する科学技術振興機構 吉川弘之氏の記事が2回にわたったサイエンスポータルに公開中(こちら).

一回目の記事においては,今回のような危機に際して科学コミュニティから情報や提案を発信する際の確たる体制を整えることが重要であることが述べられています.個々の科学者による意見の相違があることは止むをえませんが,それによって社会に混乱をきたすことは誰しも望まないところです.しかし,今回の震災における科学的知見の収集とまとめはうまくいっているとはいえないことは,一般の人々も感じていることではないかと思います.

これに対して,「科学と社会の関係な未熟な状況が原因」としています.昨年の事業仕分けの際にも研究者による情報発信不足が指摘されましたが,その後も情報発信が重要視されたかというと,そうはいえないかもしれません.結局,自分たちの研究を社会に位置付けるという活動については怠っているといわれても仕方ないのかもしれません.

二回目の記事では,研究テーマの選定についても社会との関わりを重視するべきと主張されています.このことに関しては様々な意見があると思いますが,今回の震災を通して科学のあり方,研究者としての生き方を考えることは,結論はどうあれ自分たちの活動の意味を問い直し,位置付ける良いきっかけになるのではないかと思います.

中部電力が原子力発電所の停止を決定し,新たなエネルギー開発や,限られた電力で成り立つ社会を考える必要が生まれつつあります.こうした大きな社会の転換点において,科学の位置付けや役割にも転換が求められているかもしれないと問い直すことが必要ではないかと思います.
JAXAの地球観測衛星「だいち」(=ALOS)が地上からの制御不能になったとのこと.産経新聞にて.
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、国内外の大規模災害で被災状況把握などに大きく貢献してきた世界最大級の地球観測衛星「だいち」に電力系統のトラブルが起こり、地上から制御不能になったと発表した。平成18年1月に打ち上げられただいちは、設計寿命3年、目標寿命5年とされ、現在は運用6年目だった。(MSN産経ニュースより)
設計寿命を超え,目標寿命より長くその役割を果たしたということで,お疲れ様というところでしょうか.

私も衛星観測データを使って研究に取り組んでいますが,ALOSのデータは使ったことがなく,関連研究なども詳しくないのですが,様々な成果が得られたのではないかと思います.

その一方で,ALOSによる観測情報がどのくらい社会に貢献したのかということが気になります.科学の発展に貢献したという見方もあるかもしれませんが,災害監視というのがひとつの目的であった衛星がリアルタイムでどう役立てられたのか,ということも大切だと思います.

そう考えると,自分の研究も「いずれ役に立つ」という視点ばかりでなく,少しでも早く実用に生かされるように,ということを考えて進めるべきではないかとも思います.今まではあまり意識しなかったことですが,そういう気持ちを少しでも持っていると,何か変わるのではないかという気もします.
今回の地震災害を受け,日本学術会議が「今,われわれにできることは何か?」と題する緊急集会を開催するとのこと.サイエンスポータルより.

学術の立場から,今後どのような貢献ができるのか,といったメッセージを伝えることが目的のようです.科学界だけでなく,産業界やメディアにも呼びかけているとのことですので,それらの分野からもしっかりとした意見をもった方々が参加されれば,単に学術界からの独りよがりの情報発信に終わらず,各界からの要望を受けた議論がなされ,将来への何らかの示唆が得られるのではないかと思います.

私が受信しているいくつかのメーリングリストでも,自分たちに何ができるか,どういった貢献ができるかといった議論がされていますが,実際の行動が何よりも求められているいま,残念ながらアカデミズムは大きな力を発揮できないというのが現実ではないかと思います.もちろん,連日の報道の中で状況を解説している専門家の方々によって,自分たちのおかれている状態がどのようなものなのかを知り,それによって適切な判断をすることができるという意味では,科学者が社会に貢献しているといえます.

社会の問いに対して適切に答えることは学術の大事な役割ですが,今回の災害においては,そこに貢献できるのはほんの一握りの人々に過ぎません.多くの科学者・研究者は手をこまねいているというのが現状だと思います.

しかし,だからといって焦ったりしても仕方ありません.先日も書きましたが,分野によっては今後の復興と将来の計画の中で力を発揮する学問もあります.その時に備えて思索を巡らしておくことも学術界が担う大事な役割のはずです.いま,何かを感じるのであれば,それを忘れずに将来に生かそうとする,そして実際に生かしていくことも,我々ができることのひとつではないかと思います.
IPCC第5次報告書作成に向けて,世界各国の研究機関で新たな温暖化実験が実施されている最中ですが,日本の研究機関による研究成果が発表されたとのこと.サイエンスポータルより.

記事によると,地球の温度上昇を2℃以下に抑えるには積極的な二酸化炭素の回収が必要とのこと.抑制という程度では温暖化は避けられないということのようです.
台風の進路についても述べられており,アジアへの接近数は減るものの,強い台風が増えるそうで,上陸時の被害が大きくなるのかも知れません.

今回の記事による研究結果が,複数の温暖化モデルによるものなのか,あるいは単独のモデルによるものなのかわかりませんが,後者だとすると,他のモデルの結果等もあわせて評価する必要があります.今後さらに詳しい解析や影響評価がなされることと思います.

現在行われている温暖化実験の結果は,予測実験の実施機関に所属していない一般の研究者にもいずれ公開されることになると思います.私は前回の温暖化実験結果(CMIP3データ)を使ってようやく何らかできそうになってきたところなので,早く最新の温暖化実験結果を使って研究に取り組みたいなぁと思います.
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