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ネットでは,大気圏突入後,燃え尽きるはやぶさの姿を映した写真や,はやぶさが最後に撮影した地球の写真(データ転送途中で力尽きた様子がわかるらしいです)なども紹介されていて,役割を終えた機械の最後まで伝えられて,個人的にはなかなか感動的ではないかと思いました.
その一方で,そうした感情的な記事に批判的というか懐疑的な声もあるようで.サイエンスポータルでは,「『はやぶさ』帰還の意義」という記事があり,せっかく注目が集まっているのだから,科学的意義をより伝えるべきだと書かれていました.
ちょっと前のスペースシャトル打ち上げの時は私もそう思いましたが,今回はその役割や科学的意義も耳に入ってきたので,報道もまぁ良かったのではないかと思います.
とはいえ,もしももっと多くのアピールポイントがあるなら,出し惜しみせずここぞとばかり伝えるのが確かに正しい広報戦略かなと思いますが.
なんにせよ,7年も宇宙を無人で飛んでいて,最終的に戻って来られたんですから,その技術力は本物ですよね.よくわかりませんが,はやぶさのエンジンは今後の宇宙関連ビジネスでも大きな力になるとかなんとか.
日本人は謙遜しがちですが,今回の成果は胸を張って世界にアピールして,日本の技術の優秀さを改めて知らしめることになればと思います.
水道システムのアジアへの輸出がたまに新聞などで取り沙汰されたりしていますが,お役所がそれらを本格的に後押しするような動きがあるという記事が「科学技術システムの海外展開」というタイトルでサイエンスポータルから公開されています(こちら).ついでに関連記事はこちら.
経産省・厚労省・国交省が水ビジネスの海外展開を後押しする「海外水インフラPPP協議会(仮称)」を発足させ,環境省が作成した「環境・循環型社会・生物多様性白書」では水ビジネスに関する1章が設けられ,日本企業の海外市場への積極参入を促しているそうです.
私も水関係の研究に関わっていますが,これまではどちらかというと治水寄りの話題に取り組んできたので,利水に関する国の動きなどわかりませんが,国を挙げての事業という感じがけっこうあるのかもしれません.もしそうだとすれば,「日本は水インフラ技術を強化し,世界に売り込んでやるぜ」くらいの雰囲気が伝わって来ても良いのではないかと思いますが,いまひとつそれがないのはどうしてなんでしょう.
日本の水インフラは非常に優れているようですが,自治体による管理がほとんどで,そうした方々は海外向けビジネスとは縁遠いところにいるため,簡単に海外に展開というわけにはいかないということかもしれません.
記事の最後では「企業の力量と熱意,それを支援する官と学が重要」と締めくくってありますが,本気で水ビジネスの世界展開を狙うなら,産官学を束ねて引っ張っていくリーダーシップが必要だと思います.誰かが音頭をとってくれるだろうでは,おそらく先行する海外の水メジャーには追いつけませんし,新たに市場を狙う競争相手にも勝てないでしょう.本気になったら,その人が自分で引っ張っていかねば,結局は計画倒れになるのでは,と思います.
科学技術基本計画といっても,あまり耳慣れない言葉ですが,これに基づいて様々な研究助成などが決定され事業が実施されていきます.私も研究者コミュニティの底辺の方でその影響を多少なりとも受けていたりもしているわけで,決して絵に描いた餅ではなく,実効性を持ち得るものです.
それに対して,広く国民からの意見を取り入れようという動きがあるわけですから,有意義かつ実現可能性がある提言に関しては,必ずしも専門家からの意見でなくとも今後数年間の科学技術行政を方向付けることがあるかもしれません.一般の方々にとっては科学技術への提言というのは難しいかと思いますが,もしも思うところがあれば遠慮なく意見を述べて良いかと思います.
研究者からの意見もくみ上げることを目的としているようなので,我々も思うところなどあればそれを政府に伝える良い機会かもしれません.日常の忙しさにかまけて,そういうことは中央にいる人,あるいは上の人たちに任せがちですが,せっかくの機会ですから若手や,あるいは地方にいる研究者も声を届けるべきなのかもしれません.
意見募集期間はあまり長くないようですが,私も何らか意見を出せればと思ったりしたりします.
将来的に実施する(?)太陽系探査の技術開発のステップとして月に日本基地を建設するとのことですが,国民はその方向で日本の宇宙戦略は良いと納得するのでしょうか.一般の人々が知らないままに決められるのは百歩譲って仕方ないとして,それならば意義がきちんと説明できることを行うべきだと思うのですが,どうなのでしょう.十分説明できるのでしょうか.国の「月探査に関する懇談会」(座長=白井克彦・早稲田大学総長)は25日、2020年に月の南極に電力の供給機能などを備えた無人基地を建設し、ロボット探査を進めながら、岩石の地球回収を目指す月探査戦略の報告書をまとめた。(Yomiuri Onlineより)
財政難で科学研究も社会貢献が強く求められているなか,太陽系探査はどれだけ納税者に益するものをもたらしてくれるのか.
もっとも,このような課題を進めるにあたって技術革新は期待できますし,良いことだとは思います.昨日には宇宙開発戦略本部会合も開催され,そこでは宇宙産業を今後10年で倍増の15兆円産業にするといったことが議論されたようですし.その時の目標が月の探査で良いのかが,いまひとつ腑に落ちないというか.
宇宙戦略は,今の経済がどうとか,短期的な状況にしばられずに長期的なビジョンを持つことも重要とは思いますが,その長期の間に今のような経済状況に陥ったときに継続できるのか,継続するだけの意味を持ち続けられるのかも考えておく必要があると思います.今はGOサインが出たとして,将来どの時点においても常にGOサインが出される事業かどうかは常に考えておくべきことのように思います.
新聞各紙も色々紹介していましたが,MSN産経ニュースでは,今回の打ち上げに相乗りした衛星を開発した鹿児島大学の打ち上げ時のことが記事になっていました.
それほど長い記事ではありませんし,開発に関わった人の様子がわずかに述べられている程度ですが,技術者・研究者の気持ちが感じられるようです.H2Aロケットに相乗りし、集中豪雨などの早期予報に活用される九州初の小型衛星「KSAT」。開発に携わった鹿児島大(鹿児島市)では21日早朝から、打ち上げの模様を伝えるパブリックビューイングに約300人が集まった。衛星の分離が知らされると、会場は「おー」という歓声と拍手に包まれた。(MSN産経ニュースより)
今回の打ち上げは,ちょっと前のスペースシャトルの話題に比べると,そこに関わる人の姿は見えませんが,科学的意義は非常に伝わってくると思います.また,個々人は見えなくとも,上記の鹿児島大学の記事のように携わる人々の雰囲気は感じ取ることができますし,個人的には今回の打ち上げとその報道の方が人々に科学技術の可能性を感じさせるのではないかと思います.
この打ち上げと時を同じくするように,サイエンスポータルでは「日米の宇宙開発の行方」というタイトルの記事が掲載されました(こちら).オバマ大統領による米国の宇宙開発戦略には公共事業的側面が大きいが,日本では宇宙開発に関わる人々は多くなく,雇用創出の公共事業的効果は期待できないとのこと.では,日本は何のために宇宙開発をするのか,先般の有人飛行の科学的意義が十分に伝えられないなか,財政的に厳しい現在,どこを目指していくことが国民の理解が得られ,社会に有用であるのか,といったことが述べられています(だいぶかいつまみました).
そうした視点からすると,今日のH2A打ち上げは科学的意義の説明が容易なように思います.国民の理解を得られるかは人それぞれかもしれませんが,すくなくともスペースシャトルのミッションよりは理解する人も多いのではないでしょうか.
私としては,有人飛行よりも様々な観測データを取得してくれる地球観測衛星がより充実してくれる方が私自身の研究にも使えるのでありがたいですし,社会にも役立つと思えるので,その方向に進めるのが良いのではないかと思います.もちろん,まだ衛星観測データは十分に活用されているとはいえませんが,その点は観測成果を社会に還元するよう,今まで以上に研究者が努力する必要があると思います.
なんにせよ,今日の打ち上げがうまくいって良かったと思います.金星探査機「あかつき」は12月7日に金星の周回軌道に達するとのことで,半年以上の長きに亘る旅路です.無事到着して,多くの観測データと新たな知見をもたらし,日本の宇宙開発を少しでも盛り上げてくれる活躍を期待したいです.
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