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金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
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科学雑誌Scienceに,このところ全球的には気温上昇が進んでいないとの記事が掲載されたそうです.
ご存じだろうか。この10年間、世界の気温は全く上昇していないそうである。米科学誌「サイエンス」の最近号に「地球温暖化に何が起きたのか?」と題する記事が載った。(MSN産経ニュースより)
平均気温の上昇がみられなかったこの10年の間も二酸化炭素濃度は増加し続けているらしく,なぜ気温が上昇していないのかということははっきりはわかっていないようです.二酸化炭素を温暖化の原因と考える研究者は,一時的な停滞とみなしているそうです.

記事では,気温上昇の停滞とCO2濃度の上昇が同時に起こっていることから,COP15での二酸化炭素削減交渉に話題を移しており,そこでの議論への影響を感じさせています.最後には「CO2削減への過度な傾斜も,重すぎる腰も,ともに賢明な選択から遠い」と述べています.確かにその通りです.多くの科学者は,Scienceの記事を読めば,「継続した監視が必要」と思うでしょう.まだまだわからないことばかりの自然に対しては謙虚な姿勢で観察するしかないと思います.下手な政治的動きにつながったりしないことを願います.

ということで,記事にも述べられていますが,全球的な平均気温ということで,地域によっては依然として温暖化が原因と考えられる異常気象もみられるわけで,この10年の動きですぐに気候変化は弱まったとか考えることは拙速というものです.長期間のモニタリングによって二酸化炭素濃度の増加が発見されたように,今後も様々なモニタリングを続けて環境の動態を調べていくことが何より大切です.

その割に,その方面の研究活動が充実しようとしているかというとそうでも無いように思います.観測は時間もお金も手間も食う割に,成果が出るのに時間がかかったり,あるいは狙った現象が捉えられなくて良い成果が得られなかったりもして大変です.そうした間に数値モデルを使った研究などは進めることもできますし,論文の本数で評価される研究界では,なかなか取り組むのに勇気がいることといえるかもしれません.

とはいえ地道な観測活動の積み重ねが新たな知見を生むことは大いに可能性のあることですし,気概を持って取り組まないといけないことと思います.そうした活動が評価されるようになれば,取り組みも活発化すると思うのですが.
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事業仕分けの話題が続きますが,石川県内,というか金沢大学にも直接的な影響が出ているようです.Yomiuri Onlineより.
谷本知事は20日、他の6道府県の知事と連名で、政府の行政刷新会議の「事業仕分け」で廃止となった「地域科学技術振興・産学官連携事業」の継続を求める緊急共同声明を発表した。産業や農業、医療など様々な分野で行っている産学官連携の事業で、廃止には研究現場から困惑の声が上がっている。声明では「科学技術立国こそ、日本の進むべき道。日本のあしたのために不可欠な同事業の予算確保を強く求める」としている。(Yomiuri Onlineより)
ニュースなどでは各方面からの反発に配慮して,政府が予算確保の方針を打ち出したりしている様子が報道されていますが,全国規模のプロジェクトだけでなく,地方発の科学技術にも影響があることも取材し,取り上げてくれれば,と思います.

特に記事で取り上げられているのは民間企業との連携研究ですし,新たな技術開発によって産業が活性化する可能性も秘めているので,経済への影響という観点から考えても良いのではないかと思います.

今日は事業仕分けに対して旧帝大を含む9大学の総長らの声明も出される(こちら)など,科学をめぐる動きが活発ですが,こうした社会の動きが将来の発展につながる方向にいってくれれば良いと思います.

ここまで話題になれば,学校に通う子供たちもさすがに目にするでしょうし,その子供たちが日本の科学技術に希望を持てるような国をつくろうとしていることを示して欲しいと思います.間違っても「日本の科学はこれから伸びなさそうだな」なんて思わせるような結果にはならないでほしいです.
一昨日科学技術に対する事業仕分けについて書きましたが,スパコンの事業仕分け結果には科学者からの反対意見が相次いでいるようですね.科学技術政策に関する戦略がない事業仕訳であるともいわれたりしているようですし(関連記事1関連記事2).

まぁ当然といえば当然でしょうね.スパコンは今までもそれなりの実績を積み上げてきているわけですし,将来性が読めないどころか,今後もその成果が他の科学分野にも大きな影響をあたえるのですから.文部科学大臣も予算は確保すると言ってるくらいですし(こちら).事業仕分けで評価を下した方々は立つ瀬がないでしょうね.

とはいえまだどうなるかはわかりません.最終的には首相か,まぁ政権の上の方の判断なのでしょう.今の政権は反対されると意固地になるような感じもありますから,もしかすると逆に押し切って本当に予算縮減してしまうかもしれません.長期的視点から物事を考えられる人がいることを願います.

今回の件で,科学者の声が国の施策に影響を与えるかもしれないと感じられたのはとても嬉しく感じます(まだ結果がどうなるかわかりませんが).科学技術政策そのものへの意見も出されたようですし(こちら),スパコンに限らず科学技術行政が専門家の意見を重用してくれるようになると,我々もますますがんばろうという気になりますし,社会への貢献を意識するようになると思います.

とはいいながら意見が一蹴されようものならどうなるでしょうね.それこそ研究者コミュニティからは総スカンですかね.国民には耳触りの良いことを言うけれども,科学者は敵に回しても怖くないと思っていたりしますかね.もしそうなったとしたら科学者もなめられたものです.そうならないことを期待しますが.
このところ連日のように新政権による事業仕分けのニュースがありましたが,そこそこ科学研究を生業としているものとしては,やはり科学技術に関する事業は気になるところでした.

ニュースでもGXロケット開発予算が大幅に削減されたことなどは結構話題になっていました.サイエンスポータルでも関連の話題が掲載されていて,そちらでは若手研究者向けの予算が縮減となったことに関連して,「驚いたのは,これらの事業をポスドクの雇用対策であるという認識を示したことだ.」とありました.本当にそのような意見が出されたとしたらびっくりです.

そうした研究予算は,それこそ研究者が知恵とアイディアを絞って必死に申請書を書いて,なおかつ採択率が20%とか場合によってはそれ以下の非常に厳しい競争のもと得られるもので,雇用対策などという甘いものではありません.上記のような意見を出した方が現状を理解されているのかどうか.

次世代スパコンも「2位ではダメなのか」といった意見が出されたとのことです(関連記事1関連記事2).今や計算機技術は地球環境からバイオまで,あらゆる科学研究に欠かせないものであり,DNA解析などにはハイスペックのコンピュータは欠かせません.計算機科学の重要性に関する認識を欠くものとしか思えません.

確かに世界一の計算機があらゆる分野で世界一の成果を出すとは限りませんが,大事なのはその点ではなくて,「一番を目指して競争に勝とうとする努力を否定した」というところです.他の研究者や機関よりも良いものを作ろうという熱意と努力で科学技術が進歩してきたものを,「そんなにがんばらなくても良いでしょ」と否定したことに他なりません.

国費を投入するわけですから,社会に有益な研究を進めなければならないのは確かですが,ちょっとやればすぐ成果が得られるほど研究は甘くありません.もちろん研究計画をつくるときはしっかりと見通しを立てますが,失敗だってありますし,すべて計画通りいくものではありません.確立した技術を適用するだけではなく,新たな技術開発であればなおさらです.

そういう意味で研究予算には投資的な側面もあるわけで,すぐに成果が出ないからといって切るのはどうかと思います.親が子に投資するように,国にも科学技術を育てる役割があるはずです.今回の事業仕分けに関する報道をみる限り,そうした視点を持たない人が多いように思えてなりません.

経済的にも落ち込んでおり,その一方で他に優先する事業があるから,やむなく予算縮減というのも理解できますが,テレビで見る委員の方々をみると,真っ向から科学技術を否定しているようにみえます.「重要性はわかるが,国家予算的に縮減せざるを得ない」という感じでいってくれれば,まだ納得できるのですが.

そんな中で高速道路無料化に6000億円必要だとかいってますし.本当に高速道路無料化は望まれていることなのか,正直疑問です.その分を多少なりとも科学の発展に投資してくれたら良いのに.今の政権では無理ですかね.
11月に入って急に寒くなりましたね.北海道や長野ではけっこう雪が降ったようです.かくいう金沢でも山の方では雪が降りました.角間キャンパスから望む山々にもうっすら雪がみえています.
明日からはまた気温も上がり天気も回復するようなので消えてしまうかもしれません.

雪ではありませんが遠くアフリカの地では氷河が消失するかもしれないとのこと.asahi.comより.
アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ山頂付近の氷河の減少ペースが、20世紀前半よりも2.5倍加速していることがわかった。温暖化が続くと2022年から33年の間に完全に消失する可能性があるという。アメリカの研究グループが3日、米科学アカデミー紀要電子版に発表する。(asahi.comより)
氷河の減少は20世紀前半から始まっていたらしいので,放っておいてもいずれ消失していたのかもしれませんが,現在のような著しい現象は過去1万7000万年間になかったとのこと.人間活動の影響かもしれません.

温暖化に伴う気候変化は認めざるを得ませんが,その影響がさらにどう及んでいくのかということを調べたり考えたりするのがこれからの課題です.生態系への影響,水循環への影響,ひいては人間活動への影響.それを知った上で何かすべきなのか.できるのか.たくさんのことが取り組まれるのを待っています.
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