忍者ブログ
金沢大学角間キャンパスで働く准教授のブログです.大学や金沢での生活や,その他もろもろです.
[15]  [16]  [17]  [18]  [19]  [20]  [21]  [22]  [23]  [24]  [25
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

内閣府が行った「科学技術と社会に関する世論調査」の結果が13日,発表されたそうです.記事は一昨日(3/13)のものですが,紹介.
内閣府は13日、「科学技術と社会に関する世論調査」の結果を発表した。

 

科学技術についてのニュースや話題に「関心がある」との回答が63%と、前回調査(2007年)を2ポイント上回り過去最高だった。内閣府では「事業仕分けで注目を浴びたことも影響しているのではないか」と話している。(Yomiuri Onlineより)

その他,科学者や技術者の話を「聞いてみたい」との回答も前回を上回ったものの,科学技術への関心と理解を深める機会があるかというというに対しては,ポイントは低かったとのこと.
社会における問題がさらなる科学技術の発展によって解決されると考える人も75%と,前回を13%上回ったそうです.

記事にあるように事業仕分けの影響で関心を持つ人が増えているにせよ,何らかの問題解決における科学技術への期待も高まっているということで,科学は決して社会に不要と考えられているわけではないということが明らかとなり,研究者としてはちょっと安心しました.

とはいえ,今後は事業仕分けのような評価活動が活発化すると思われますし,期待の高まりはそこでの評価をより厳しくさせることにもつながるかもしれません.研究者には,これまで以上に活発な研究活動と成果の達成が求められるということもあるのでは.

事業仕分けのような場にせよ,あるいは一般の人を含む社会によってにせよ,評価されるには研究活動を,きちんと伝わる形で発信することが必要であると,またもや認識しなければなりません.特に科学技術を知る機会が少ないというアンケート結果は,研究者にとって難しい問題を突きつけている可能性があります.

科学技術を知る機会が少ないと感じる人達が,普段どのように科学技術に関する情報を得ているかわかりませんが,必ずしも積極的に情報を求めているとは思えません.大学や研究機関のホームページを日々チェックしたり,科学技術関連の資料館に足を運んだり,あるいはたまに開催される科学系のシンポジウムに参加したりという方はごく限られているように思います.
おそらく大半の人は,受動的に科学技術に関する情報を得ているのではないかと思います.

そうした方々に「ホームページをみろ,シンポジウムに足を運べ」というのは傲慢というもので,どうにか受動型の人々に伝わるように情報発信をする必要があるはずです.
NHKのプロジェクトXなどは人の生き様がメインに制作されていたかもしれませんが,それを通して技術というものに触れる機会を与えていたように思います.
海外出張の時にテレビをつけると,National Geographicのテレビ番組や,最新の科学技術を紹介するような番組などが放映されていますが,日本ではあまりないように思います.たまに深夜のバラエティで工場でものが作られる様子などがおもしろくまとめて放送されているくらいですかね.

せっかくの関心に対して科学コミュニティがどう応えていけるか,というのも大事な課題ではないかと思います.
PR
昨年実施された事業仕分けにおける科学研究予算削減の意見に対して,科学コミュニティからは多くの反対の声が上がったわけですが,しばらく経ったいま,無駄はないと言えるかという問いが研究者の間からも出ているとのこと.MSN産経ニュースより.
科学研究に無駄はないのか-。昨年末に行われた政府の事業仕分けでは、科学技術予算にも焦点が当てられた。いったん「凍結」と判定されたスーパーコンピューターをめぐって「世界1位を目指す」「2位では駄目なのか」という論争も起こった。ただ、そうした具体的な研究の是非にかかわる議論が過熱した一方で、研究者の実務レベルで起こっている「無駄遣い」が見過ごされた格好になっているようだ。一線の研究者からも、税金の「節約」を訴える声があがっている。(MSN産経ニュースより)
科学研究予算の無駄の例として,年度末前の様々な機材の駆け込み購入などが挙げられていました.特に単年度会計の問題点は大きいと.また,実際に研究予算が使用できるようになるのは各年の6月くらいからで,会計の締めは早いところでは12月や1月だそうです(金沢大学は3月です.今年は2月と早いですが).
研究活動はなかなか計画通りに進まないものというのは理解して頂けるかなぁと思いますが,その結果予算計画も必ずしも予定通りにいかないこともあるのです.

一方で,我々が研究計画を立てるときには,機材やら何やら色々調べて予算も積み上げるわけですが,満額予算が頂けることはまずありません.6割とか7割とか.8割ついたらかなり良いのではないかと思います.なので,配分される金額は決して無駄に多いわけではありません.無駄が出てしまうのは,残念ながら今の仕組みでは「使いにくい」からなのです.

研究者自身が「無駄がある」と述べることは,下手をすると研究予算全体の減少につながり自らの首を絞めることになってしまうかもしれません.それでもあえて声をあげたのは,現在の仕組みにおける非効率性への不満や危機感ではないかと思います.研究予算の効率的な利用が可能な仕組みができれば,同じ予算で優れた研究成果を上げることが可能ではないかと.
なので,研究者からの無駄の声は,予算減額を望むというものではなく,予算運営の仕組みをより良く変えて欲しいということだと社会にご理解頂き,変わっていってくれればと思います.
今日は気になる話題をふたつ紹介.

まずは国交省のウェブサイトから「第5回 今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の配布資料が公開されました(こちら).
先日第4回の議事要旨が公開されたばかりでしたが,早速次の会議の開催ということで,国交省としても早急に意見をまとめて方針を整備し,実現に向けて動く必要があると認識しているということなのではないかと思います.

資料は各委員の方々によるものですが,いずれも具体的な内容なので,勉強するには非常に良いのではないかと思います.一般の方々も理解できる部分もあると思うので,チェックしてみてはと思います.


ふたつめの話題は温暖化報告書の誤記やその周辺での金銭問題など.
地球温暖化の危機を警告し、2007年にノーベル平和賞を受賞した国連の委員会「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC、事務局・ジュネーブ)を巡り、報告書の記述間違いや幹部にまつわる金銭問題などが相次ぎ浮上し、報告書の信ぴょう性が問われる事態となっている。(Yomiuri Onlineより)
いくつかの表記の誤りが温暖化の危機をあおるための意図的なものではないかとの批判が出ているとのこと.また,ちょっと前に話題になっていたことで,気温の低下傾向を隠すためのごまかしについての研究者間でやりとりされたメールにも触れられていました.さらにIPCC議長と企業との間における関係も.

IPCCの科学者からは組織の大規模改革が提言されているとのこと.日本では科学者による研究情報の発信などの社会的責任が言われるようになっている中で,世界的に関心の高い取り組みにおいて疑惑がもたれるような動きがあることは,科学コミュニティに対する信頼を損なう可能性があると思います.
社会の側は「科学者は信用できない」,これから社会への情報発信を考えている研究者にしてみれば「公表しても信頼されないのでは」となれば,お互いの距離を縮めることによって研究への理解を得て,研究への支援をしてもらおうという最近の動きも弱まってしまうかもしれません.

研究者の責任はしがらみに捕らわれることなく正しい意見を述べることにあるということを忘れず,その姿勢を貫くことで信頼を得るとともに,その意見が反映される社会を保たなければならないと思います.

日本の科学技術の発展とその社会への貢献について科学者の立場から提言することを目的とした組織として日本学術会議というものがあります.その学術会議がいまこそ「社会の知恵袋」になることが必要ではないかと.朝日新聞の社説より.

記事にも書かれている通り,これまでの日本においては科学コミュニティによる社会への発言や提言は一般の人々にはほとんど届いていなかったことは否めないと思います.事業仕分けを受けて,様々な学会の代表者が集まって学術会議の機能強化による科学技術政策の展望を示すことが必要だということが議論されたそうですが,本来そんなことは実現されていて然るべきではなかったかと思います.とはいえ,きっかけはどうあれ本気で科学コミュニティが社会への積極的な参加が必要だと考え始めたことは意味深いことだと思います.

現政権が掲げる官僚依存の政治からの脱却においても,政治家が判断を下す前の専門的な議論の段階において科学者の貢献が必要だとも述べられています.官僚主導であろうがなかろうが必要なことのように思いますが,何にせよ今まで以上に科学者の社会への関わりが必要とされていることを自覚する必要があるかもしれません.

かなり前にアメリカの科学アカデミーは日本の学術会議に比べて発言権が強い(らしい)と書いたと思いますが,今回の社説にもそのことが述べられていました.そうしたことも一般の人々には知られていないことと思いますが,今回の記事によって広く知られれば科学コミュニティだけではなく,周囲からもその必要性が言われて,仕組みづくりにはずみがついたりするのかもしれません.

ともあれ,全国紙の社説に科学コミュニティのあり方が議論されているというのは一般の人々への情報提供になるとともに議論を誘発することにもつながると思いますし,科学者だけでなく社会が科学技術のあり方を考えることの小さなきっかけにでもなればと思います.

政府の来年度予算案なども仕上がってきているようで,また最近は政治家が本来の仕事とは別のところで奔走しているということもあるようで,事業仕分けに関する話題は新聞でもテレビでもさほど取り上げられなくなりましたが,本日のサイエンスポータルの記事で事業仕分けから得るべき教訓が話題となっていました(記事はこちら).

内容は,「研究者は自らの取り組む研究の意義を国民に伝える必要がある」というもので,事業仕分け真っただ中の頃にいわれていたことと変わりませんが,盛り上がりが落ち着いた今,再度落ち着いて考えるのも良いのかもしれません.

事業仕分けの反省として,どれだけの研究者がそれを契機に新たな情報発信に取り組んだのでしょう.恥ずかしながら私はそれ以前と以後で特段変わったことはしていません.情報発信の必要性は承知の上ですが.
ひとつには現在取り組んでいるテーマが出口指向というか,すぐさま社会の役に立つことではないというのがありますが,自分のようなひよっこが声を大にして,どれほど聞いてもらえるのかというのが主たる理由のように思います.
しかし,声の大きい(=著名で影響力のある)研究者ばかりが科学研究の重要性ばかりを言っていたのでは,「国民に説明する努力をしているのは一部の研究者に過ぎない」となってしまいますから,小さな声であれ,情報発信は怠ってはいけない,と肝に銘じておかねばいけません.

情報発信の方法も新聞や雑誌,テレビなどマス・コミュニケーションを通すのが効果もありそうですが,誰でもがそうしたメディアを通じた情報発信ができるわけではないわけで.まぁこんなふうにブログで細々意見を述べたりしていれば,誰かのめには触れるかもしれませんから.Amazonのビジネスモデルであるロングテールに通じるかもしれないし.

お世話になっている先生のことをGoogleで検索したら,twitterでのつぶやきが3件目に出てきました.その先生は日本でも有数の情報系の先生なので,お使いになっているのも納得なのですが,そうした情報発信もあるんですよねぇ.私はまだ使ったことはありませんが,うまい使い方をすれば研究者の社会的認知度もあがるのかもしれません.

まぁ,まずはコツコツとブログを続けていきたいと思います.
カレンダー
02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
ブログ内検索
最新コメント
[11/23 fake bvlgari womens watch]
[11/12 fake love cartier Bangles]
[08/04 bvlgari diamond ring]
最新トラックバック
アクセス解析
プロフィール
HN:
角間で働く准教授
性別:
男性
准教授のいるところ

だいたいこの辺 ↑ です.

(ズーム・写真切替可)
geotargeting

ジオターゲティング
地球の名言


presented by 地球の名言
お天気情報
バーコード
Copyright © 角間で働く准教授のブログ(仮) All Rights Reserved.
Powered by Ninjya Blog / ブログテンプレート by naminorito
忍者ブログ [PR]