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サイエンスポータルからリンクされているサイエンスニュースで,日本の科学技術予算がわかりやすく紹介されていました.こちらより.
我々研究者も必ずしも国の科学技術予算の全体像について詳しいわけではないのでちょっとした知識を身につけるには非常に良い内容ではないかと思います.
分野別の予算割合についてはライフサイエンスが20%,エネルギーが27%,新しい課題(フロンティア)15%など.エネルギーが最も割合が大きいというのは意外でしたが,原子力などお金のかかる研究課題が多いということのようです.どこか特定の分野に偏りがないというのは,バランスが良いように思いますが,もしかするとコレという強みがないともいえるのかもしれません.
日本の科学技術予算は米国についで2位で,科学技術に力を注いでいるように見えます.しかし,国の科学技術への熱意は予算の伸び率に表れているそうで,日中米韓ドイツを比較すると,日本が唯一この10年予算がほぼ横ばいだそうです.
今後,科学技術で勝負していこうとするなら予算規模も大きくする必要があるということですが,国力的に頭打ちだとするとどうにもならない気もします.日本はかなり成長が進んだ国ですし,これから一気に力をつけるということは難しいように思うので,今ある予算をどう配分するか,配分された予算をいかに効率的に使い,成果を出すかが大事なように思います.
研究者によって意見は様々と思いますが,国の配分方針や予算総額については,多少知っておかないといけないだろうと思います.
潜水艦20隻を台風の進路に配備することで,周辺海域の水温が3度程度下げられ,台風の勢力が弱めれらるそうです.気象研究所も,理論上は台風を小さくすることが可能と評価しているとのこと.三重県桑名市の鋼(こう)構造物設備会社が、台風が進む海域に潜水艦を出動させ、海中の低温水をくみ上げて海面水温を下げることで勢力を弱める構想をまとめ、このほど日本とインドで特許を取得した。海面水温が高いと台風の勢力が維持されることに着目して考え出したという。この会社は伊勢工業で、06年1月に日本と米国、インドの3カ国で申請、今年7月に日本とインドで認められ、近く米国でも認められる見通しという。(毎日jpより)
天気をコントロールするというのは,人類のひとつの夢ともいえるかもしれませんが,そのためのアイディアが特許という形をとると,がぜん現実味を帯びた感じになりますなぁ.人的・経済的被害に比べて潜水艦20隻のコストが小さいとなれば,実施する価値はあるといえるのでしょうが,そもそも潜水艦20隻はどこから調達できるんだろうか,と思ったりしないでもありません.世界には,案外たくさん潜水艦があるのかもしれませんし.
気象研によれば,台風の進路予想の精度などが課題とのこと.このアイディアを現実のものにするためには,技術自体の課題以外にも,気象予測などの関連技術の発達も必要ということですが,いつか実用化される日も来るんでしょうか.これも,以前記事に書いたジオ・エンジニアリングのひとつといえるのかもしれません.
研究といっても色々な側面がありますが,特集では国際貢献,先端とすそ野,頭脳流出という3つの話題が取り上げられています.
いずれも大事な側面ですが,これからも研究者としての活動を長く続けていく可能性の大きい若手としては,「先端とすそ野」の内容が最も気になるところでした.
記事では東大・数物連携宇宙研究機構という新しい研究プログラムが紹介されています.世界トップの研究成果を出すべく大きな予算が配分されていますが,経済状況の悪化や政策の不安定さから,今後に不安があることも否めないとのこと.
また,記事の中では運営費交付金の減額についても触れられていて,そこから配分される研究費は1990年代半ばの半分以下程度まで減少しているとのこと.競争的資金を得れば良いという考えもありますが,成功するかどうか判断するのが難しい研究課題は必ずしも採択されるとは限らず,挑戦的な研究を支える基盤が弱体化する可能性が示唆されています.
競争的資金については旧帝大に集中しているという現状があり,研究者も地方大学から旧帝大に引き抜かれる動きがあるそうです.「日本のためには研究者が分散した方が良い」との意見も紹介されており,それに合わせて多くの機関の間で競争が行われれば,研究レベルも向上するのかもしれません.
日本の研究力は決して低くはないと思いますが,持っている力からすると,今よりも成果が出て然るべきのようです.出るべき成果を出せるような基盤整備について,しっかり考える必要があるということでしょう.
ニュースといっても,早稲田大学の学生さんが取材したインタビュー映像ですが,一般の方々の研究や科学技術政策に関する生の声がきけます.
多くの人の意見が「科学技術や研究開発への投資は必要」というもので,研究に従事する者にとっては心強いものでしたが,一方で「どんな研究が行われているのかわからない」「どのくらいの予算が使われているのかわからない」という声もあり,そんなわけで「評価はできない」という人が多いのも事実でした.
科学技術政策にどのくらいの人々が関心を持ち,意見を反映させたいと感じているのかはわかりませんが,情報が変われば行動も変わり得ます.情報発信が比較的容易な世の中ですから,成果や活動を伝えることはやはり研究者の義務と考えて良いように思います.
情報を得た人々が評価をし,どのような科学技術があったら良いかといった声をあげるに至ることができれば日本の科学界は非常に盛り上がるのではないかと思います.一部の研究者がどれだけ息巻いたところで,やはりその国の空気というのは普通の人々によって作られるものでしょうから.
分野ごとに,科学への投資による経済波及効果等を分析し,最適な投資や政府予算配分の戦略につなげるとのことで,「政策のための科学」コースを2~4か所の大学院に設置し,教育研究拠点を構築するとのこと.文部科学省は来年度、科学技術への効率的な投資のあり方について研究するプロジェクト「政策のための科学」を発足させる方針を決めた。科学技術の戦略作りに生かす。昨年の「事業仕分け」で研究の意義を十分に説明できなかった反省を踏まえ、研究投資の根拠を明確にする狙いもある。(Yomiuri Onlineより)
記事にもありますが,研究開発は不確実な要素も多いので,本当に「正しい」分析ができるのかどうか,それを次の投資・予算配分に反映し,狙った成果が出せるのかは難しいように思いますが,根拠があいまいな予算配分ではいけないのも確かですし,成果よりもプロセスの正当性は確保できるように思います.
米国では2006年から科学投資の有効性を検証するプロジェクトが発足しているらしいですが,誰もが腑に落ちる調査結果なんでしょうかね.また,それを既に次の予算配分に活用しているのかどうか.
まずは調査・分析の実施が先決ですが,なかなか他人事とはいえないことですから,我々研究者の目につきやすいように活動報告等の公表をして頂きたいです.
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